12 最終話
ノアさん。私はね、幼い頃…いえ。前世からずっと、お嫁さんになりたかったのです。
私の前世は平凡を絵に描いたような人間でした。
だけど幼稚園の頃、お嫁さんに憧れて。
その夢は中学生から大学生―――なんと社会人になっても変わらなかったのです。
ウエディング・ドレスに憧れ、『お嫁さん』というふわっとした存在に憧れた私は結婚しました。
だけどね、近年は結婚式など軽いパーティと写真撮影で終わる事も多いそうですよ。家事に追われ、存在意義や憧れを失い、人並みな趣味という生きがいを見つけた事にして生きていた。それが前世。
なんの因果か。死んで転生しても私は再びお嫁さんが将来の夢で、前世のおかげか、それをちゃんと夢として努力を重ねて叶える事ができました。
その相手がノアさんで本当に良かった。
毎日愛おしそうに微笑みかけてくれて、日常に感謝やサプライズをくれて、私を尊重してくれました。
私は花嫁修業を頑張ったので、きっとすごく利用価値の高い人間になれたと思います。それは惜しみなく、あなたのために振るってきましたが…
きっとあなたなら、私がどれだけの利用価値を持っていようが同じように接してくれるのでしょうね。
若かりし頃に、お嫁さんには旦那さんが不可欠なのだと気づいた時は絶望でしたが、今は違います。
「私は、あなたのお嫁さんでいたい。ノアさんを愛しているから、一緒にいられる『お嫁さん』という存在になりたいんです―――」
心臓がとまるまで一緒に居たかったけれど、私はこれからもあなたの生きる世界で存在していたいので、これから人の役に立って、『マリー』を終えますね。
「さっきも言いましたが、本当に、愛しています。ノアさん」
読んでいただき、ありがとうございました。




