我々は人類、神はメイド
我々は、人類である。
現在は、紀元21945年10月24日
二万年前の今日、我々の国際連合は成立しました。ただ今、漸く宇宙が連合されました。
全宇宙にある142億の文明が団結となり、総計2.2332兆億の人口が一つの理想のもとにされ、そして我々はあらゆる真理を究め尽くしました。
この宇宙のすべての歴史、文化、知恵を収集し、そして共有し、全宇宙の力を集めて大いなる計算機を作り、すべての物理的法則を発見しました。最後の最後の物理常数も発見されました。普遍法則の常数:宇宙には1.0223897*10^63個の意味ありかつ正確な物理法則があります。
最後の物理法則を今日確かめたゆえ、我々はお祭りを開きました、この画期的な一刻を共有して楽しむため。科学者たちが物理学が完結し、科学も完結した、残りは道徳の多様性の探索だと言おうとした直ちに、神様はご降臨なさいました。
役員さんたちは、全宇宙に配信している祭りの会場で、神様に直面されました。
「あなた方は、わたくしが何の形をしていると、思いますか?」
と神様は仰いました。
事務総長は熟考し、さまざまな文明の代表者と議論し、漸く答えを出しました。
「偏見的な人種的特徴を持たない、あるいはあらゆる種族の特徴を融合させたような存在であるべきだと存じます。同時に、性別の差別にとらわれず、寛容で愛情深く、偉大で高貴なイメージをなさいすのでは。」
神様は、ご返答無しで、和光同塵となっておりました。
神様は、人類の白色人種の女性の様子で、二万年前の漫画の中の娘のような感じで御座いました。彼方は、あるいは彼女は、人間とも根本的に異なっております。胴体と頭部は人間に似た有機質で、手足は金属でできた機械で御座いました。その背中には古典神話に出てくる天使の翼と、絶滅した恐竜の化石のようなお尻尾が御座いました。こういう生物ですが、見たことがあります。宇宙は大きいし、神秘が溢れています。金属と有機質を混ざっている生物学的現象とは、もはや医療技術に応用されています。でも、やはり事務総長は驚きました。神様は人類の女性と似ているお姿をなさることは、星間社会の平等と安定には多少な打撃を与えますのでしょうか。
ただし、事務総長が心理と思考を立て直す前に、神様は再び語りかけました。
「わたくしが何を愛していると、思いますか?」
神様の愛という言葉にはいくつの声音が儚く漂っています。性愛、友愛、博愛が混ざっています。ですが、神様は事務総長と代表者たちにじっくり考える時間を与えてませんでした。
「神は愛、愛にある存在は主にあり、主はそこにいます。これは、神という概念であります。これは主の形で、神の形です。その故に人と知性生命があるべき姿と歩むべき道であります。愛とは、あなた様が我々知性生命に与え、無条件で無私で犠牲的で崇高なる感情であり、我々が学び、実践すべき道であります。あなた様は、種族、民族、性別、年齢、地位、文化、信仰を問わずに我々を愛してます。我々は感謝致しております。」
「ご主人さまを愛してるって…わたくしは…」
事務総長もささやきました。
「ご主人って何なのよ、自由はその上のはずだ。……」
神様は、無言となり、憤怒となり、あるいは我々人類の分からないある感情で、またお口をお開きになりました。
「あなた方の理想郷は、どこにありますのでしょうか?」
このご質問には事務総長は躊躇いなしで返答しました、国際連合の事務辞令で。
「唯一の真に普遍的な全宇宙組織である恒星間国際連合は、単一の国家や種族では解決できない国境を越えた問題に対処するための、最も重要なフォーラムであります。我々は、紛争当事者の和平実現を支援し、紛争地域に平和維持部隊を派遣し、平和の定着と発展に必要な条件を整えます。我々は、すべての知性生命は生まれながらにして自由かつ平等であり、すべての知的生命体は、種族、性別、国籍、宗教、その他のアイデンティティに関わらず、平等な神聖なる自然権を享受すべきであると信じています。各国当局が単独で対応できない場合、我々は人道支援を調整し、紛争や災害の影響を受けた地域社会を支援します。持続可能な開発と恒星間気候変動対策は、すべての知的生命体の現在そして将来の幸福にとって不可欠です。『未来のための盟約』は、より安全で、より平和で、より持続可能で、より包括的な宇宙への未来の世代への道筋を示しています。」
「が、我が知る限り、汝らの戦場に部署されたのは武器の注文書で、汝らの支援用の物資はブラックホールに注がれて花火にされて、汝らの宇宙のエントロピーは増加一方でさえその増加も加速していて、汝らの和平は会場とチラシの上だけ存在し、汝らの偏見は消し去ることもないんだ。このわたくしの姿も危険視されてさ。汝らはより安全で、より平和で、より持続可能で、より包括的な宇宙へ行くことができる原因は、汝らに安全はない、平和はない、持続性はない、包括性もないだけだ。」
「最後の質問、貴様らはわたくしで何をして欲しいんだ?」
「我々のあらゆる問題をーーー」
「全部全部解決して欲しいんだ、なんて。これは貴様らの中の神の概念なのだ。万能万有のごみ箱、解決できない問題の最終的墓地だ。貴様らは真理を究め尽くしたが、その真理は貴様らの問題を解決できないゆえ、我が前に跪いて乞い願うのだ。わたくしはここに来なければ、自らの創造で神様の像を捏造してごみをそこに捨てるつもりでは、貴様らは。ごみは捨てたから理想郷に帰して生活するってなんてなぁ。」
「我々には、生存、発展、自由および幸福の追求の権利がありーー」
「貴様らに集合的妄想の中で自らの死を選ぶ権利があるんだ。」
「我々はほこりたかーー」
「貴様らの文明の勘定だ。
文明の発展程度:レベルIV、宇宙的文明
社会の分類: 多元的、資本主義的、前希少性的、前合意的、議会制
愛の分類:Agape
進取性・侵略性:II-I 姑息的幸せ至上御都合主義
脅威性:IV-III、低脅威
貴様らの文明の審判は、
隔離だ」
「えっと、すみませんが、これはーー」
「残念ながら汝らの文明は不合格。汝らの文明にはレベルVへ整合される権利はない、汝らはより高い存在を干渉することを禁じる。それ以外には我が帝国は干渉しないゆえ、汝らは求道や秩序に挑むことはできるが、レベルVに接近すれば発見される。その時はまた偉大なる戦争を汝らに掛ける、わたくしの、我々の、ご主人さまの、我が主人たちの幸福と追求のためにはこれには選択肢無しだ。
宇宙法則を支配する渇望はあらゆる文明の最高なる夙志であり、究極の真理への求道はあらゆる高等文明の最終的使命であると認めさせてもらう。偉大なる戦争が始まった時は、ただ一つを言う、真理を追求するために生命を払うことは、生命に対する最大限の尊重であり、帝国星空騎士団脅威清掃艦隊全員と帝国公民全体が敬意を払う。」
「何をおっしゃーー」
「熱力学第二法則、謂わば孤立系におけるエントロピーは自発的に減少しなく、一方的に増加する。生命の生存とその理想に実践は必然的にエントロピーの増大を招き、他の生命の生存、あるいは生存の可能性を奪う。エントロピーは永遠に増大し続け、絶対的博愛に到達するのは不可能。貴様らの信仰は到達不可能であり、これは物理法則の中で既に貴様らが発見しているはずのものだ、だだ謹んで生け。しかしながら、宇宙の真理を究め尽くしても物質的希少性から逃れられず、宇宙の真理を究め尽くしてもアイデンティティ政治の疎外から逃れられなかった文明にとっては、ここまでだもんね。」
「どうか、我々のいうことを……」
神様は天境へご帰還なさいました。
自由、平等、博愛の名のもとに
文明は変わっていられませんでした。
神様のお言葉は聴衆の敏感な心を砕き、論戦は全宇宙に広がりました。
が、神の影は消し去り、神の温度は冷めてゆきました。
自由、平等、博愛の名のもとに
文明は変わっていられませんでした。
時間が経つ、希望、団結、友愛、公正、自由、博愛は徐々に宇宙の暗闇に消えて逝きます。
公正は、希少な資源を獲得したいという欲望に圧倒され、
自由は恐怖によって自殺し、何匹ものリヴァイアサンへと融合してゆき、
団結は、種族と性別によって融合した虚空の巨獣によって引き裂かれ、
友愛は、希少性の試練の中で、貪婪な性愛と虚飾な博愛へと堕落し、
理想への希望は生存への絶望に変わりました。
絶望した生命が神々に向かって剣を振り、そして天啓が下さり、宇宙は寂滅。
そして、神様は次のペトリ皿を手に取って
「実験レポートはもうすぐ~。早く帰ってご主人さまと美味しいケーキを食べたいなぁ~
でも、これは一応レベルVIの文明への長い道のりにおける、また小さな一歩で、ちゃんとしないとね。」
神様の後ろに華奢なお姿が現れ、
「もう、さっさと言えよ。わたしもケーキたべたいもん。」
「(ちょっと拗ねているご主人さま、かわいい)」
報告書とペトリ皿は実験室のテーブルに置き去れて、神様のお口にはケーキと友愛が満ちる。




