夜は死のなか
夜になるたびに毎日世界は死んで、わたしは生き返る。
朝も昼もあの花も太陽の中でしか生きられないけど、人間は夜の中でしか生きられないね。
夜のなかでは、全部が紅茶に落とした角砂糖みたいにとけて、混ざって、甘くなる、夜ふかしをするのは少しでも生き延びたいからで、朝が来ると命が終わることに気づいている。
本当にきれいなものは光の中にしかないけれど、夜には君がいるから、それで十分だと思う。
朝がやってきて死んでしまうその瞬間、「またあした」というときだけ、ちゃんと生きている気がするのです。