3-1 蘇る死者
「さて…どうする?」
「行く宛もないし、適当に里を探してみましょ。どっかにはいるでしょ」
と、あおいは手を叩いた。
「あ、そうだ。それより、さっきの本屋に戻っていい?気になることがあるの」
「気になること?…まあ、いいけど」
というわけで、2人は本屋へ戻ることにした。
そうして、本屋に到着した…。
「ん、いい感じに熟成されてるわね」
あおいが顔をしかめる。
あの惨劇から早くも数時間が経過し、放置された死体と血が悪臭を放ち始めていた。
「うっ…結構キツくない?これ…」
「そう?」
異臭の中心となっているカウンターまでやってきた。
そこには、早くも虫が集り始めている2人の死体がー
なかった。
「…あれ?」
ただ、血の海の中に一枚の紙が落ちていた。
拾い上げ、あおいが読み上げる…
「最近各地で発生している人間及び妖怪の凶暴化。
その原因を解明するヒントになるかもしれない情報が、外から迷い込んできた書物に書かれていた。
外の世界には、普通の人をゾンビのような怪物に変える能力を持つ、目には見えない大きさの生物が存在するという。
それだけでも私達には信じがたいことだが、さらに信じがたいことに、それは元はと言えば人間によって作られたものだという。
それから…あとは血で汚れてて読めないわね」
そのとき、
「ねえ…何してる…の…?」
奥の本棚の後ろから、何かが現れた。
それは、死んだはずのあの娘だったー
「…!!」
凛が驚いている間に、あおいは魔弾を放っていた。
「え…ぇ…??」
小鈴は、音もなく倒れた。
…と思いきや、再び立ち上がってきた。
「やっぱりこうなってたか…あっ!」
あおいがわずかに見せた隙を逃さず、小鈴は飛びかかってきた。
「ごちそう…ご馳走…」
小鈴は不気味な言葉を発しながら、歯をぎらつかせてあおいの胸元に噛みつこうとする。
「あなた…まだ意識が…!?」
凛は驚きながらも小鈴の耳を剣で刺して頭を貫通させ、切り上げた。
動きが止まった隙をつき、首を掴んで壁に投げつける。
「あおいさん、大丈夫!?」
「大丈夫よ、こんくらい。しかし…」
あおいは小鈴の方を見る。
頭部にかなり深い傷を負ったにも関わらず、小鈴はまだ生きており、ゆっくりと立ち上がってくる。
血まみれになり、所々破れてボロボロになっている着物から、本来の白っぽい肌と腐敗したのか変異したのかわからない変色した肌が入り交じっている様子と、人間とは思えない異様な形に変異を遂げた腕や足などの骨が見える。
「痛ぁい… なんで…」
小鈴は唸りかうわ言かわからない声を上げ、小刻みに震えながら二人を見てくる。
その瞳は白目が半ば液状化して涙のように零れており、眼球自体が今にも目から零れ落ちそうになっていた。
「わたしは…生き…てるの…に…」
「…まだ数時間しか経ってないのに、もう全身転移するなんて。今度のタネは、かなり厄介そうね!」
あおいはフレイルを取り出し、小鈴の胸に叩きつけて小鈴を壁に叩きつけた。
さらにそのまま、頭を上から叩きつける。
そこに凛が切り込み、鎖骨の少し上あたりを一文字に切り裂いた。
小鈴は血飛沫と共に耳をつんざくような悲鳴を上げ、壁に倒れて動かなくなった。
「はあ…あら、これは…」
今まで全く気づいていなかったが、小鈴が腰に巻いている帯に何かが挟まっている。
それは鍵…のようだったが、シールにあたる部分が血で真っ赤に汚れており読めない。
「どこの鍵かわからないけど…とりあえず持っておきましょうか」
あおいはさっさと店を出た。




