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東方訪問記  作者: 明鏡止水
凛編
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2-3 紫色の死人使い

バク転で糸をかわし、逆に一気に距離を詰めて斬りかかったが肘でガードされた。


かわりに、今度はあおいがムチを振るう。

巧みな戦闘技術を生かし、遠距離から頭や胸、腹を殴り付ける。

何度も攻撃を食らううちに、アリスは少しずつ後退してゆく。

そしてとうとう壁際まで追い込んだ。

「なんで……れいむ…」


「そろそろ〆ね!」

あおいはそう言うと、アリスの体を締め上げて動きを止めた。

「頼むわよ!」

アリスが動けなくなっているうちに、凛が決めにかかる。

「剣技 [賽の目斬り]!」

剣を高速で縦横に振り、アリスの体を文字通り細かく四角に切った。

「ないすー!」

あおいが囃し立てた。



「わたしは…まだ…」

アリスの首はしばらく床に落ちても喋っていたが、やがてそれも止まった。


ここで気付いたが、辺りの床にはバラバラになった人形が散乱している。

彼女の首もまた、その中の一つのように見えた。


「ねえ凛さん、これ見てよ」

あおいは、机の上に広げられた一冊のノートを指差した。

「何?研究記録?」


「そんなのより、もっと面白いものよ」


それは、恐らく彼女がつけていたであろう日記だった。


「    


4月10日    晴

今日も1日、えらく大変だったわ。

前からの異変のせいで、街の外はとてもうろつけたもんじゃない。色々と不便になったし。

何より、薬草や花が取れなくなってしまったのが痛い。

私だけじゃなくて、他の子達も結構影響を受けてるみたい。

それに、作物もかなり育てにくくなってる。私達は別にいいんだけど、このままだと人間たちはいずれ食べ物を巡って争うだろう。

そうなれば、何一つ良いことがない。

この異変、早く何とかなってくれないかしら。



4月11日    雨

雨のせいか、朝から気分が晴れない。

こういう時は、人形作りと研究をするに限るわ。

どうせ外に行っても良いことないし。

前は里に行ってみんなと喋ったり、買い物したりできてたのに…今じゃそんなこともまともに出来ない。

しかも外に出る人間が減ったから、私の稼ぎにも影響が出てる。

このままじゃ、私もいずれ倒れる事になる。

何とか対策を考えないと。



4月12日    雨

今日も朝から雨で、肌寒い。

天気が良ければ、久しぶりに魔理沙にでも会いに行こうと思ってたのに、それもできない。

最近なんなのよ、もう。

異変があったり、天気が悪かったり、良いことなにもないじゃない。

今日は夕方にうちの前で妖怪が人間を捕食してたし、なんか私も噛まれたし。

もちろん殺したけど、すごく嫌な気分になったわ。しかし、あの妖怪…目と血の色がなんかおかしかった。

新種の妖怪か何かだったのかしら?


4月13日  曇り

今日は久しぶりに霊夢に会いに行ってきた。

何でもない会話とお茶を数時間しただけだけど、凄く楽しかった。

はあ、それにしても霊夢…何て魅力的なの…

前に告白した時はドン引きされたけど、今も普通に話してくれてるって事は、本当は私の気持ちをわかってくれてるって事よね?

全く、素直じゃないんだから。

でもかわいいし、素敵。

何だかんだ言っても本心では相手を想ってる人、嫌いじゃないわ。

とは言え、私との夜を受け入れてくれないのは残念。


いつか、必ず私のものにしてやるんだから。



4月14日     晴れ

なんか朝から騒がしいなと思ったら、人間が数人集まってなんだかよくわからない騒ぎをやってた。

しかもそれは、昼過ぎまで続いた。

あんまりうるさいから、玄関を開けて怒鳴り付けてやった。

まったく、勘弁してよね。

こっちは夜通し楽しんで、幸せな気分になってたってのに。

おかげで素敵な余韻が台無しよ。

まあ今時ストレスが溜まるのはよくわかるけど…

発散する方法を考えてほしい。



なんか、頭痛い。体がやけに火照ってる。

最近雨続きだったし、それかも?

体が火照ってるのは…

まあ、私の霊夢への熱い感情に起因するものかしらね。



4月15日 晴れ

あれからたっぷり寝たのに、まだ頭痛が取れない。

朝買い置きしておいた薬を飲んだけど、昼になっても治らない。

なんかイライラする。あと、なんか関節の曲がりが悪くなってきた。

変な病気かもしれない。

一応、医者に見てもらってきましょうか。



4月17日     晴れ 

昨日日記つけ忘れちゃった。

医者は調べるとか言って、わたしの血を抜き取ってた。

あんなことされた事ないんだけど。何だったのかしら?

まあ、帰りに霊夢の姿を見れたからよかったけど。



なんか、帰ってきてから具合が悪い。

頭がいたい。ぐわんぐわんする。

なんか、体がゾクゾクする。

こわばるような震えが、止まんない。

両手両足が震えて、仕方ない。


なんか、あちこちの関節が痛い。

まるで、ぶつけたみたい。

別に、そんなことしてないのに。

わたしは、わたしは、どうなっちゃうの?





やばい ぞくぞくする。

なんか、気持ちいい。

なにも、してないのに。

そとで、誰かの悲鳴がきこえて、かわいそうだなて思ったくらいなのに。




夜、つくった人形、ぜんぶこわした。

やっぱり、本物じゃないとだめだと思ったから。



4月18日 晴れ



わたし、なんかおかしくなっちゃった?

あちこち痛い。

なんだか、無性にむずむずする。

わたしが、わたしでなくなっちゃいそうなくらい。

まさか、わたしもあの化けものたちみたいになっちゃうの?

そんなの、嫌だ。

怖いから、玄関扉を塞いでおいた。

これで、誰かをおそう心配はない。




なんか、おなかのあたりが暖かい。

なんだろう、この感じ。

まるで、赤ちゃんができたみたいな感じ。

ママもこんな感じだったのかしら。





4月19日  はれ

みんな、かわいそう。

化けものに襲われて、しんでいく。

だから、わたしが助ける。

みんなを、助ける。

そうすれば、助かる。



ずっと、なんだか気持ちいい。

そとで襲われてた子を助けた。ありがとうって言ってた。

でも、わたしのものになるのを嫌がった。

どうしてだろう。

わたしのものになれば、助かるのに。




みんな、そとでいたい言ってる。助けてーっていってる。

だから、わたしが助けてあげないと。




わたしの大好きな子達。

いへんに振り回されてる、かわいそうな子達…

もう大丈夫。全部、ぜんぶ、わたしが助けてあける。


ずっと、わたしのもの。



わたしの 、かわいい人形。


  の、家族。

もうすぐ、増える。

わくわく する。


 

からだ なかから、あつい。

   

うふふ     

    幸せ 。 

       


   


               」 





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