表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
東方訪問記  作者: 明鏡止水
姜芽編
40/64

8-6 新たな統治者

おびただしい数の触手が渦巻く、その中央にいるモノ。

美しくも禍々しい大輪の花。

その中央に鎮座する、雌しべのような異形。


異形は叫びながら触手を叩きつけてきた。

これ自体は簡単に避けられたが、連続で放ってきた。

それも、叩きつけだけではなく突き刺したり薙ぎ払うようにやってくる。手数も圧倒的に多く、速度も早いため隙がない。


…しかし、実は隙は必要ない。

重要なのは、如何に相手の攻撃を掻い潜って攻めるか。


龍神は飛び込んだ。

伸びる数多の触手のわずかな隙間に。

そして、花の姿を見た…


と同時に、彼の姿は触手に飲み込まれて外からは見えなくなった。


「龍神…!」

それを見るが早いか、姜芽は防御をやめて隙を見せた。

すると、複数の触手が一斉に襲いかかってきた。


それら全てを一点に受け止め、とにかく踏ん張る。

そして同時に体を発火させ、触手を燃やそうと試みた。

触手はたちまち燃え上がり、あっという間に焼け落ちた。

これで龍神の姿が見えるはず…と思いきや、またすぐに新しい触手が生えてきて見えなくなった。

ならばと飛び上がり、斧を剣に変形させ、

「剣技 [レリカルエスト]」

剣に白い光を纏わせて刀身を大きく延長する。

そのまま回転斬りを放ち、触手をすべて切り落とした。


すると、もう触手は生えてこなかった。

そして、触手に隠されていた花びらと(がく)のような部分が(あらわ)となった。

花びらと萼は閉じており、中央が山のように高くなっている。そして、花びらは一ヶ所だけ少しめくれている。


と、萼が開き、無数の刺が飛び出して襲ってきた。

いや、長さ的には牙というべきか。

「っとぉ!」

盾で弾き落とし、同時に燃やして使えなくする。

そして全ての牙を落とした後は、盾をブーメランのように投げて四枚ある萼状の部分を切断し、さらに花弁のめくれている部分を切り裂いた。

 

「…!」

そこには、不気味に蠢く無数の触手に絡み付かれながらも、中央にある、根元が膨らんだ紫の柱?に必死にしがみつく龍神の姿があった。

「龍神!?」


「姜芽…!」


触手は姜芽に気づいたのか、一部が向かってきた。

そのうちの一本をつかむと、籠手が軽く溶けた。

(溶解液か…)

直接攻撃すれば武器が溶けてしまうだろう。

しかし、恐らく炎による攻撃は効果が薄い。

ならば…

「伏せろ!」

素早く龍神は伏せた。


「剣技 [闘剣の斬光]」

抜刀と同時に斬撃を水平に放ち、触手を切り落とす。



ほとんどの触手を切り落とせたが、中央の柱だけは無傷だった。

「どうなってんだ…!?」


「…意地でも開かせてやる!」

二人は根元に刀を刺し、柱に斧を振り下ろし、猛攻撃をしたが全く効かない。


と、突然柱に縦に切れ目が入った。

「…!」

そして柱が開く。




柱の内部の中央に、さらにもう一本柱が存在していた。

その頂点に体を固定した、異形の生物。


それは、サソリとエビとクモを合体させたような生物。

赤い目が8つあり、先端が(はさみ)のようになった白い腕が4本、そして白く細長い脚が10本。

胴体には複数の節があり、口内には無数の小さな牙が蠢くのが垣間見える。




もはや元の人間の面影は全くない、『新たな統治者』がそこにはいた。







異形は二人を見るなり、おぞましい叫びをあげた。

そして脚と鋏状の腕を伸ばし、二人を捕まえようとする。

何とか避けたが花びらは閉じてしまっており、先ほど姜芽が切り裂いた所もいつの間にか塞がっていたため、脱出は出来ない。


姜芽の斬り込みは腕で防がれた。

同時に、別方向から斬りこんだ龍神も同様だった。


そして、二人ともに吹っ飛ばされた。



「余計な抵抗さえしなければ、幸せに暮らせたものを…!」

こんな姿になっても、会話が出来る程度の知能と自我はあるらしい。

そこは凛央と同じ…というべきか、さすが完全適合者というべきか。


「私に楯突いた、その勇気と覚悟は褒めてやる…!お前たち二人は、ここで私が直々に葬ってくれる!」

異形は、二人の首を狙う。


姜芽は素早くジャンプして難を逃れた。

しかし、まだ終わりではない。すぐに残りの二本がくる。

「っ…!!」

武器で腕を受け止めるが、長くは持ちそうにない。


と、龍神が刀を入れて腕を斬ろうとした。が、刀を弾き飛ばされ、花びらを突き破って外まで飛んでいった。

そして、すぐに花びらが塞がる。

「ちっ…!」

龍神は即座に魔法盾を作り出し、鋏の攻撃を防ぐ。

「無駄な足掻きを!お前の運命はもう変えられないのだ、潔く死ね!!」

4本の腕が彼を襲う。


押される龍神を見て、姜芽は斧を振りかぶるが、

「邪魔するな!」

纏められた10本の脚による蹴りを食らい、姜芽は花びらの外へ吹き飛ばされた。


「っ!やばい!」

すぐに戻り花びらを斧と魔弾で攻撃したが、びくともしない。

この様子では、おそらく火も効かないだろう。


「畜生!」

意味もなく、悔しさから拳で花びらを何度も叩く。

そしてへたれこんだ。


…と。

ここで、姜芽の脳裏にある言葉が浮かんだ。







その頃、内部では…


「これで邪魔者はいなくなった…お前たちは二人いるから強い、だから1人づつ殺す」

異形は腕と脚を総動員し、龍神の動きを完全に封じた。

そして、口とも頭そのものとも見えるモノを開いた。

5枚の花弁のようなものの中に、鋭い牙がびっしり並ぶ。


「お前ら二人は別々の方法で殺してやるわ。お前の相方は引き裂く。お前は…私の血肉として喰らってやる」


食い殺されるまであと数秒と言ったところだが、あいにく先程の魔法盾で魔力をほとんど使い果たしたので、この場を脱する攻撃はできない。

少なくとも、致命傷を負わせたり怯ませたりするような攻撃は撃てない。


異形は口を限界まで開き、大きく仰け反った。








「させるかよぉ!!」

姜芽の怒号が飛んできた。

その直後、

「[神滅割り]!」 

という声と共に、異形の上半身が斜めに切り裂かれ、花弁内に一気に光がもたらされた。



龍神は直ぐに異形の腕を振りほどき、後ろの空を見上げる。

そこには、巨大かつ異様な魔力をまとう斧を持った姜芽がいた。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ