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東方訪問記  作者: 明鏡止水
姜芽編
28/64

6-8 終わり

あれから2週間が経った。


「おーい、終わったぞ」

龍神の声が響く。

彼は、凛央が使っていた船を修繕·改良し、ノワールへ戻れるようにしたのだ。


「わかった」

姜芽はと言うと、朝起きてからずっと、子供たちやこれまで会ってきた者たちの相手に追われていた。


「みんな、悪いが俺達はもう帰らなきゃない」

姜芽がそう言うと、子供たちは口々に言った。

「えー!もうー?」


「まだお話したいよ!外の世界のこと、もっと聞きたいよ!」


「ずっと里にいてよ!そしてまた、私たちを助けてよ!」

そうは言われても、ここに居座り続ける訳にはいかない。

この世界とノワールのつながりは、これっきりにせねばならないのだ。

「…ごめんな、俺達には待ってる奴がいる。

それに、向こうでもやんなきゃない事があるんだ」


「でも…」


「あんまりわがまま言わないの」

その声の主は…


「お、あんたらか」

いつぞやの巫女と、金髪の魔女二人と医者、それに数人の《《おまけ》》達であった。


「あんた達…?外来人の分際で、随分と暴れてくれたじゃない。

私の仕事を奪うだけ奪って、何もよこさないでいなくなるなんて、いい度胸じゃないの」


「いや、奪ったつもりは…」


「問答無用!」

と、ここで止められる。


「まあまあまあ。気持ちはわかるけど、落ち着こうな?」


「むぅ…あんたはどっちの味方なのよ…」


「勿論、私は霊夢の味方だぜ。けどよ、ここは正直になろうな?」


「っ…」


「本当はお前も感謝してるんだろ?私にはわかるぜ。ほら、素直に言えよ」


「う、うっさい!

私はこいつらに、少しも感謝なんかしてないんだからね!」



(和太はこの世界の住民は、基本的には誰が誰だかよくわからないが、霊夢だけははっきりわかる)

「とにかく、今回は完全に私達の出る幕がなかったな。

霊夢は認めたがらないけど、私もお前らには感謝してるよ」


「僕も同様だ。霊夢ですらどうしようもなかった今回の異変を、君らは外から颯爽と現れて、解決した。本当にすごいし、感謝している。君らがいなければ、今回ばかりは本当にヤバかっただろう」


「私からも、ありがとうね。…あの時、敵だなんて言ってごめんなさいね」


「なんだ、そんなことか。気にしちゃいない。…さて、そろそろ行かなきゃだな」





龍神は、船内で発進前に最後の点検をしていた。

「エンジンよし、両翼よし、電源よし…完璧だな!」

と、ここで、誰かが入ってくるのに気づいた。

そしてその直後、こめかみに鈍く光るものを認めた。


「…誰かと思えば。なんだ、暗殺でもしに来たのか?それともリベンジか?」

彼は、彼女を嘲笑うように言った。

「…本当はそうしてやりたい所ね。けど、今回はそれより大事な用があるのよ」


「というと?」


「お嬢様から、あなた達にと預かってきた伝言があるのよ…」






「…ほう?どういう意味だ?」


「さあね、私にもよくわからないわ。けど、あなた達なら、今わかんなくてもいずれわかるでしょう?」


「そうかもな」


「帰るんなら、さっさと帰りなさい。

なんなら、帰る前に…顔にここに来た証を刻み込んでげるわ」


「根に持ってんな。

そんなんだと、妹様に嫌われんぞ?」


「…相変わらずウザいわね。あ、もしまたこっちに来る事があったら、是非館(うち)に来てよね」


「ご主人様のご命令か?」


「いいえ。私自身の考えよ」


「あんたにしちゃ、珍しい事を言うな。

何だ、フルコースでも食わせてくれんのか?

霊夢も連れてっていいか?」


「…そしたら、あんたと霊夢に出す料理にだけは針を入れておくわね」


「そりゃ恐ろしいなあ。で、本当の目的はなんだ?」


「何かしらね。言わなくてもわかるでしょ?」


「…まあな。

まあ、何回やっても同じ事だとは思うけどなぁ?」


「…はぁ、もういい。

じゃ、さっさと帰りなさい。

…今度来るまでに、怪我とかしないでよね。

あんたに怪我とかされたら、私もお嬢様も困るんだもの」


「ん?何か言ったか?」


「な、何でもない!

とにかく、早く出てってよ!あんたなんか、顔も見たくないわ!」


「…やれやれだ。これだからメイドって奴ぁ…

っと、そろそろ来るな…」





「よし、龍神、出発だ!」


「ああ。あばよ、東方世界!」




船は飛び立ち、空間を、結界をすり抜ける。

スキマを飛び続け、ノワール周辺の空間へ出て…

二人は帰還した。




出発した時から、殆ど時間が経っていなかった。

時間の流れが違ったのか、龍神が行き先を操作したのか。


姜芽はドアを開き、意気揚々と叫んだ。

「さーて、二度寝するか!」





龍神「ふー、終わった終わった」


姜芽「ん?何を勘違いしてんだ?」


龍神「…は?逆にまだあんのか?」


姜芽「ああ…むしろ、ある意味ここからが本番だ」


龍神「…」


姜芽「てわけで皆さん、話はまだもう少し続きます。

どうか、お付き合いください」


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