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東方訪問記  作者: 明鏡止水
姜芽編
26/64

6-6 決闘

二人は同時に凛央に斬撃を放つ。


凛央は結界のような見えない壁をはり、それを弾く。

ならばと飛びかかるが、これも弾かれた。

しかしそれでも姜芽は斧を強く押し付け、龍神は振りかぶってもう一度斬りつけた。

すると、壁は簡単に壊れた。


「妙に脆いな!」


「当然だ。これはあくまでも小手調べだからな」

凛央は手に薙刀を生成した。


「刀技 [電光突き]」

龍神の技を薙刀一本で防ぎ、

「怒面 [怒れる忌狼の面]」

複数の霊魂のようなものを召喚する、不思議な技を繰り出した。

龍神はあっさり弾き飛ばされてしまった。

「次は俺だ!斧技 [五体薪割り]」

姜芽は斧を振り上げ、盛大にジャンプする。

「[そして誰もいなくなる]」

凛央はそうつぶやき、姿を消した。


「…どこだ、どこに行った!」

と、姜芽は背後から剣で貫かれた。

後ろ蹴りを浴びせ、どうにか突き離した。

凛央はさっき薙刀を持っていたが、今は剣を持っている。

武器を変えながら戦っているのか。

そして…

「次はこれだ。[神槍 スピア ザ グングニル]」

今度は巨大な槍に持ち変え、姜芽目掛けて突きだしてく

きた。

これは身を翻して交わしつつ、槍を掴んで、

「炎法 [煉牢獄]」

炎を伝わらせ、凛央を燃やそうとした。

しかし、あと少しで凛央の手まで炎が届く…という所で、突然槍は崩れ去った。

と同時に、凛央の武器が玉?のようなものにかわり、

「夢符 [夢想転生]」


赤と白のエネルギーの玉が降り注いだ。

姜芽はたまらず凛央を突き放した。


「はあっ…り、凛央…!」

凛央とは以前にも戦った事がある。

だがその時は、ここまで強くなかった。

そもそも違う種類の武器を替えつつ戦う、なんて器用な事は出来ないはず。

とすれば…


「奪った力…か。早速使いこなしやがって…連中に見せてやりたいよ、全く」

龍神が苦々しく言った。


「こんなものではないぞ?ノワールの異人とはまた違った能力…最初は少し手こずったが、これも悪くはないものだ」

そう呟き、今度は何かの書物を作り出し、それを開いた。

「火符 [アグニシャイン]」


「…ちっ!」

凛央が唱えるのと同時に、龍神は風の壁を張って炎を防いだ。

あまり効かないような気もするが、黙ってやられる訳にはいかない。

「風法 [業風の盾]」

激しい風を吹かせ、攻撃する。


「…やはり、東方(こちら)の力では駄目か。理法 [精神の壁]」

凛央は半透明なバリアを張り、風を全て受け止めた。


と、ここで、

「[大木輪斬])」

姜芽が回転斬りで奇襲をかける。

凛央はそれを受け止め、

「理法 [魂の鼓動(ソウルビート)]」

衝撃波を放ち、姜芽を吹き飛ばす。

その後ろから龍神が斬りかかるが、これも防がれた。


龍神はすぐに立ち上がり、闇の術を使う。

「闇法 [(ほの)かなる手]」

凛央の足元が紫色に光り、その中から紫色の手が伸びてきて、凛央を光の中へ引き込む。

「霊法 [気魂の護り]」

凛央の術により、手は光ごと消えてしまった。


(やっぱりそうなるか…)


「地法 [路傍の楔]」

鋭い岩を凛央の足に突き刺して釘付けにし、

「地法 [暴れ飛礫(つぶて)]」

無数の小さな石を空中に召還し、それらを渦巻くように動かして、渦の中央の凛央を切り刻む。

一瞬うまくいったように思えたが、凛央は強引に足元の岩を破壊し、無数の火の玉を召喚した。

「炎法 [旋火車(つむじかしゃ)]」

それを見て、姜芽は俄に驚いた。

それは、姜芽も使う術だったからだ。


(どこでコピーしたんだ?…まあいい)

「地法 [剛轟岩(ごうごうのいわ)]」

姜芽は大きな岩を生成し、凛央目掛けて飛ばす。

そしてそれと同時に龍神が後ろから斬りかかる。

「風法 [白風纒]」

二人とも、風の術で弾き飛ばされた。


ならばと姜芽は再び斧を構える。

「[スピンブレード]」

斧を高速で回しながら凛央の周囲を回り攻撃し、

「[ターンスタッブ]」

一度払い抜けてから再び戻って斬りつけ、

「[地球斬り]」

破壊力のある一撃を見舞った。


龍神も負けじと続く。

このチャンスを逃さず、連続攻撃を叩き込んで決めてしまおう。


「[狂気斬りルナティックスラッシュ]」

一度で二発の、殺傷力の高い斬撃を放つ。

「[生贄の介抱]」

首を目掛けて強烈な一撃を放ち、

「[千羽舞鶴・亜流]」

舞うようにして数え切れないほど斬りつけた。





一通り攻撃を終え、埃が収まってきた。

見ると、そこには…。

「いない!」

凛央がいなくなっていたのだ。


「ちくしょう!どこ行きやがった!」

キョロキョロしていると、どこからともなく声が聞こえてきた。


「見事だ。だが…」

その直後、龍神は後ろから奇襲された。

「…言わなかったか?お前らに私を止める事はできん」

杖で殴り飛ばされ、壁に叩きつけられた。


「…っ!来い、凛央!」

残った姜芽は斧を構える。

「姜芽…お前も目障りだ」

凛央が手のひらを下に向け、上にすっと払うと、床から無数の刺が飛び出し、姜芽の足や腕を貫いた。


さらに凛央は龍神の方を向き、

「[難攻不落の死牢獄(カルチェレ)]」

彼を謎の物質でできた檻に閉じ込めた。


「…さて、いいものを見せてやろう」

凛央がそう言うと、後ろの壁に大きなモニターが現れ、何かが写し出された。

それは人間たちの集落だったーただし、姜芽達が見たような、平和な人間の集落ではなかった。

C.S.Tなのか自然変異体なのかわからない、おびただしい数の化け物。

それらによって建物が壊され、あちこちで住人が襲われ体を引きちぎられ、殺されていた。

時には幼い子供が襲われ、胸や腕を喰いちぎられる様子も見えた。

「これは今の地上の様子だ。ここだけではない」

更に映像が切り替わり、各地の様子が写し出される。

花畑、山地、どこかの館、寺のような建物、墓場…

様々な所が写し出されたが、それら全てに異形の化け物が映り、無惨なことになっていた。


「順調だな…ふふ、どうだ!もはや誰にも、止める事は出来ん!じきに、全ての奴らが素体となる!お前らは、適当な奴らの餌にしてくれる!」

凛央はそう言った…




直後、驚いた。

先ほど拘束したはずの二人がいなくなっていた。

檻は破られ、地面から生えた刺は折られていた。

そして…




「!!」

凛央が気づいたときには、剣と刀が腹を貫いていた。


「…いつの間に!」


「お前に言われたくないな?」


「あんな刺をへし折るなんて容易い事だ」


「…おのれ…」

凛央は二人を突き放し、鮮血の滴る傷を押さえながら唸る。


「やはり、お前たちを連れてきたのは誤算だったか…だがまだ終わりではない!ここからが本当の勝負だ!」

凛央は杖を構える。

それを見て、二人も身構える。

一見地味なように見えるが、これが凛央の本来の武器。

かつてノワールで最も高貴な存在の一つとされた偉大な司祭が、全力の戦いを見せる時の姿なのだ。


と、

「うっ…!」

凛央は突然、口を押さえた。

そして床に膝をつき、大量の血を吐いた。


その色は、紫色だった。




凛央

今回の事件の黒幕。かつては人間だったが、異人となり長い年月を生きるうち司祭となった。

数千年前ノワールを救ったとして語り継がれている「三聖女」と呼ばれる3人の異人の一人でもある。

とある国の王妃として迎えられた後、科学の道を歩み始めたが、やがて道を踏み外し、生体兵器ビジネスに手を染めた。

数万年の時間を生きており、その心はもはや私利私欲にまみれた悪人以外の何者でもないが、容姿はかつての三聖女時代の美しさをそのまま保ち続けている。






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