梨咲様特製ジュース
「梨咲ちゃんの〜 水属魔法クッキング〜♪
タッタラ〜♪」
梨咲は寮の自室で1人、上機嫌に歌う。
白衣にメガネ。邪魔になる髪は三編みでサイドに。
フラスコと試験管、バーナーなどなどを用意し、薬草を並べる。
「ではっ、これから〜 ルブカの実を使った〜
栄養満点♪回復ジュースを作りま〜す♡」
『へーへー。 精々頑張ってください…。』
凛の呆れた様子と声を思い出す。
今は1人だ…
「はぁ…。 頑張るか…!」
ルブカの実を包丁で切って、回復に効く薬草を命属魔法を使い新鮮にしていく。
水魔法を使い、下処理を施した材料を違和感なく融合し、集中して「味」をつけていく。
今回は量が多いからちょっと大変だぞ?
しか〜し、英梨咲さんには関係ないのであ〜る!タッタラ〜♪
夜も更け、梨咲は変なテンションになりながらジュース作りを続行する。
そうして気がつくと、朝になっていた。
「はぁ…、どうにか… コレでいいかな?」
目の下にクマを作り、よろよろと特製ジュースを試飲する。
「! お… おおっ?!」
梨咲の眠気はすぐに吹き飛んだ。
「あ、なかなか良いのが出来たじゃん♪」
梨咲は特製ジュースの出来に満足する。
コレなら飲みやすい!
みんなも喜んでくれる筈…!
梨咲は早速特製ジュースを抱えて学校に向かった。
クラスにつくと数人の生徒が梨咲に駆け寄ってきた。
昨日一緒に生徒会室に向かってくれた同級生達だ。
「梨咲ちゃん!!昨日は大丈夫だった?」
「私達弾き出されちゃって…!」
その中には骨折や打撲といったケガをした子が沢山いた。並の回復魔法では治りきらないのだ。
梨咲は痛々しく感じた。
やっぱり…ディラン先輩に関わるとロクな事がない。
申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「こっちこそ…みんなを巻き込んじゃってごめんね?あのね、お詫びで回復ジュースを作って来たの!みんな、飲んで?」
そうして梨咲の特製回復ジュース屋さんが開店した。
「え?梨咲様のお手製?!」
「美味しい!っていうか、アレ?昨日のケガ、痛くない!」
「本当だ!腕、治ってる!」
「凄〜い!さすが梨咲様!」
「味、凄い美味しい〜(感動!)」
梨咲はみんなの様子を見てホッとした。
コレでみんなネファ先輩に操られなくて済む…。
「…何の騒ぎです?」
ルイスが眠そうにあくびをしながら登場する。
「ハイ!ルイスもしっかり飲んで?」
ウトウトしているルイスの手にしっかりコップを握らせる。
ルイスはコクッと一口飲むと驚いた顔をした。
「は? コレ、回復ジュース?!」
すっかりいつもの通りの顔になった。
「ルブカの実入りだよ。熟成した高い濃度のモノを使ったら1年は有効だよ!」
ルイスは周りを見回す。
「え?全員分作ったの?」
「学年分と、レイドリュー先輩分ね。」
「ひと晩で?!」
「そうね。徹夜しちゃったけど早く作りたかったから…。」
「はぁ〜。無理し過ぎですよ。」
ルイスはため息をついた。
「ヤダなぁ。凛みたいな事、言わないでよ!」
「だって…」
言いながらルイスはコップに残るジュースを見つめる。
「本っ当…!悔しいけど水魔法は勝てる気しないな…。この味にするまでの融合だけならまだしも、この人数分を一晩で作るなんて…。さすが、梨咲様ですね。」
梨咲はルイスのその言い方に凛を重ねて泣きたくなった。
「あ〜…。 泣きたくない〜…!」
梨咲は宙を見上げて涙を堪える。
「泣いてしまえ!」
ルイスに言われると涙が溢れる。
「あ〜!ルイス君!梨咲ちゃん泣かしちゃダメでしょ?」
近くにいた生徒に言われてルイスが慌てる。
「ええ?!誤解ですよ〜!!ね〜?梨咲さん?!」
「う〜、ルイスに泣かされた〜!!!」
昨日の仕返しとばかりに梨咲は泣いた。
「もう!婚約者でしょ?!」
「梨咲様を泣かすなんて…」
ルイスはクラス中の避難を浴びてしまった。
「梨咲さん〜、コレはキツイ〜!」
ルイスが泣きついてくる。
「…泣かした責任、取って…」
梨咲はルイスのシャツを引っ張る。
「…わかりました。コレで仲直りしましょうね。」
「うん ///」
同級生達の反応は気になるけど…
ルイスに抱きしめられて、梨咲は寂しさを癒やした。




