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結婚式

父親と腕を組みバージンロードを歩く。

前…


えぇー すっごい緊張してる…


見たことない位にカチコチの父親に、梨咲は先程ルイスにかけた緊張を解す魔法を父親にも施す。


「お父様、しっかりして…」

梨咲は呆れながらおでこに手を当てる。


目の前の温かな光で父は徐々に自分を取り戻していく。


一瞬その覗き込む顔が梨愛に見えた。

「…梨愛ちゃん…」

父の言い間違えに、梨咲は微笑んだ。

父の心の中に、母がちゃんと居ると思えて嬉しかった。


結婚式が終わったら、ちゃんと父と色々話そう…

勿論、感謝も伝えたい。



梨咲は父の腕に掴まり、ルイスの元へバージンロードを歩いていく。


式は順調に進行していき、契約を結んでいく。


梨咲とルイスはそれぞれ掌を向かい合って翳し、下に置かれた契約書には文字が刻まれていく。

「何だか5番勝負の契約の時みたいですね♡梨咲さん♡」

ルイスがにっこり微笑む。

「契約書はどこもこういう作業だからな。」

梨咲が淡々と話す。

「結婚式の契約なのに〜 何か…素っ気な〜い !」

ルイスがむくれる。

翳している手の反対側の手で梨咲の後頭部を押さえ、ルイスは衝動的にキスをする。

「?!」


梨咲は契約の途中で起こった予期せぬ出来事に直ぐには対応出来なかった。 


こんな時にまでコイツは…!

『誓いのキスまで 唇はとっておこうかな…?』とか何とか、さっきぬかしていただろうが…!


梨咲は苛立ち、突き飛ばしてルイスを睨む。


「あぁ…!やっぱり美しいですね♡梨咲さんのその睨み眼… 興奮します…♡」

ルイスは頬を赤く染め、梨咲を見る。

ルイスの性癖は健在だった。


お互いが翳す手の下では契約書がまだまだ文字を刻んでいる。契約中は魔法が使えない。


梨咲が反対側の手でルイスを叩こうとするも、逆にその手をルイスに掴まれ、引き寄せられる。

慌てて顔を背ける梨咲をおいかけて、ルイスは無理矢理キスをしてくる。


何とかルイスのキスから開放されると梨咲は静かに切れた。


「戦いを好むその鋭い眼光…♡いつ見ても心、射抜かれます♡」


契約が終わった瞬間、梨咲は溜まりに溜まった怒りをルイスに向けて放つ。


「おっと!」

ルイスはひらりと体を倒し、梨咲からの攻撃を交わす。


「…コロス!」



ちょうどその時マリーと共に戻って来た凛は、2人の荒れた契約の様子を見て慌てた。


「ええ?!2人共、何やってるんですか!!!」

凛は急いで幻影魔法を発動させ、現実世界とこの空間を切り離す。



梨咲はその場にしゃがみ込み、真っ赤な顔で唇を拭ってルイスを睨む。


ルイスはキスの余韻を楽しむ様に唇を押さえて嬉しそうに微笑む。


「ああ…!やっぱり梨咲さんはそうでなくっちゃあ /// 可愛い〜♡♡♡」


梨咲は頭に身に着けていたマリアヴェールを脱ぎ捨て、火魔法でウエディングドレスの長いスカート丈を膝までに焼き払い、動きやすくなってからルイスに攻撃魔法を仕掛ける。


「あぁ〜!ヤバい!前より断然スピードが早いな…!♡」

ルイスは焦りながらもどこか楽しそうにする。


凛はその様を見て、深い深い溜息をついた。

それからマリーに笑いかける。

「梨咲様は全然梨愛様に似ていませんでした…」


マリーもふふっと笑う。

「まったく お2人ったら仲良しですわね♡

でも、結婚式ですからね♡ 

ちゃんと神様の前でお行儀良くして頂かないと♡」


マリーがその場の浄化を発動させると梨咲もルイスも体が動かなくなった。


『あ、あれ…?』


2人が不思議に思っていると、マリーが静かに2人の前に立った。

「お兄様、お姉様。ちゃんと神様の前で誓って下さい。神聖な場を荒さないで下さい。マリー、怒っちゃいますよ…?」


マリーの笑顔にルイスと梨咲は凍りついた。


「マリーが怒ったじゃないの!」

梨咲は青ざめながら小声でルイスに怒る。

「だって結婚式なのに梨咲さんが素っ気ないんだもん。」

「だからってあんな処でキスする必要ないでしょ!」

「俺はいつでもどこでも梨咲さんとキスしたいよ?

ほらほら、マリーが本気で怒っちゃうから、誓いのキスしよう?」


幻影魔法が解かれ、神父と神様の前に戻った2人は誓いのキスをした。


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