2人の時間
ルイスが部屋に入ってくると、美花とマリーは席を外した。
「じゃあ、私達は先に行ってるね〜♪」
美花は部屋を出ようとした所で、中に入りづらそうにしていた父を見つけるとニコッと笑った。
「お姉ちゃん、ココにお父様もいるけど、連れて行くね〜♪」
「え? やだ… 居たの?」
梨咲は呆れながら部屋を出て父親を確認する。
バツの悪そうな父の顔を見ると梨咲は笑ってしまった。
なんて情けない顔… 長官らしくない。
「お父様、あとでしっかりエスコートしてね?」
梨咲がお願いすると、父は静かに頷いて美花と共に出ていった。
部屋に向き直ると、ルイスと2人きりになった。
梨咲は落ち着かない。
う〜ん カッコいい… かも… ///
髪を上げてるから? タキシードだから?
何か… ドキドキする…
ホワイトカラーのタキシードにグレーのベストとタイ。
こういう正装がビシッと似合う。
梨咲はいつかの雑誌を思い出す。
そう言えば、モデルやってたな… ///
「すごいきれい…」
ルイスはうっとりと梨咲を見つめる。
「…っ!///」
梨咲は恥ずかしくなって俯いた。
「照れてるの? もぅ… かわいいなぁ! ///」
ルイスは梨咲の手首を取って引き寄せ、抱きしめた。
「誓いのキスまで 唇はとっておこうかな…?」
耳に響くリップ音にゾクッとする。
「…緊張するね…?」
ルイスが眉毛を下げて微笑む。
緊張? ルイスが?
梨咲は思わず顔を上げる。
「ほら。5番勝負の3回戦の時みたい…」
ルイスの手が震えていた。
梨咲はルイスの震える手を取る。
「どうしたの?らしくないじゃない…」
「梨咲さんと、とうとう結婚するんだと思ったら緊張しちゃって…」
ルイスのおでこの上に手を乗せ、梨咲は緊張感を解していく。回復魔法に似た、温かな魔法。
「バカね。 大丈夫?」
魔法をかけ終わると梨咲はルイスの顔を覗き込んで様子を伺う。
「バカじゃない!」
突然ガッとルイスに肩を抱かれる。
素肌に直接ルイスの手の温もりを感じて梨咲は焦る。
「4年間、この時を待ってたんだ…」
梨咲のおでこに軽く頭突きしてルイスは怒った。
真剣な青い瞳…
素直な気持ちに引き戻されて、梨咲は反省した。
「ごめん。…私もこの時を待ってた…。」
ルイスの頭を抱えて抱きしめた。
出会ってから4年…
こんなにかけがえのない存在になるなんて思わなかった。
「…前にも思ったけど…、 梨咲さんって細いよね〜。胸があるから気がつかなかったんたけど…」
ルイスは梨咲の肩や二の腕を見て話す。
抱きしめた時に見た目より細くてびっくりする。
胸があるせいか、服を着てるとその細さが目立たない。
「それは褒めてるの… 貶してるの… ?」
梨咲は軽く睨むが、ルイスはにこやかな笑顔で梨咲の質問にスルーした。
「ルイス、ありがとうね。結婚式、わざと卒業式の次の日にしたでしょ?
私が、レスカーデンに変な情を残さない様に…
慌ただしかったけど、悲しんでる暇も、思い出に浸る暇も無かったよ。」
梨咲の突然の感謝に驚きつつも、気がついてたか…☆とルイスは肩をすくめた。
でも…そればかりじゃないんだけどね。
ネファ先輩が最後の別れとばかりに乗り込んで来る前に移動したかったし♪
再会したら面倒臭そうじゃない?
それに…
「早く自由の身にしてあげたかったから…。」
梨咲はルイスの両手を包むように握る。
「『出る時は… ルイスと一緒がいい…』
叶えてくれてありがとう。」
『 ずーっと一緒だよ… 』




