写真
結婚式当日
支度を終えた梨咲の部屋に、美花と父が入ってきた。
「うわぁ〜♡お姉ちゃん♡きれい〜♡かわいい〜♡」
そう言いながら美花はパシャパシャとカメラのシャッターを押した。
「もぉ!恥ずかしいよ…///」
「いいじゃない!素敵なんだから、残しておきたいよ!」
美花の言葉に梨咲はハッとした。
残しておきたい… か。
今日という日を いつまでも 残しておきたい…
そう、思ってくれている事を梨咲は純粋に嬉しく思った。
「ありがとう!」
梨咲が微笑むと美花は更にシャッターを切った。
「ちゃんとお父様ともツーショット撮るよ!」
美花の言葉に父が慌てた。
「いや、いいよ!」
美花は父を睨む。
「お父様!」
「わ…わかったよ〜」
渋々といった感じで居心地悪そうに梨咲の隣に並んだ。
梨咲は目を閉じてルイスの母のお願いを思い出す。
「お父様、一緒に撮りましょう?こんな機会でもないとツーショットなんてなかなか撮れないかも。残して置きましょう?」
梨咲が微笑みかけると父は突然涙を流し、脱走した。
「は… ! えぇ〜… ?!」
梨咲はちょっとムッとした。
何よ〜! 折角歩み寄ったのに〜〜〜!!!
「あー あー」
美花も溜息をついた。
それから美花は紙袋を梨咲に手渡した。
「お姉ちゃん、コレあげるね。お母様と私で作ったのよ。」
「? 愛美様と…?」
きれいに包装された包みを開けて、出てきたのはアルバムだった。
「これ… 私?」
そこに写っていたのは赤ちゃんだった。
自分によく似た女性にキスをされていたり、頬ずりされていたり、優しく見つめられていた。
写真1枚1枚から幸せな母子の時間が感じられた。
「その写真はね、全てお父様が撮ったのよ?写真って言葉や動きがない分、凄く伝わってくるものがあるよね!」
梨咲は胸がいっぱいになった。
背景はどうであれ、そこには確かに幸せと呼べる時間も在ったのだと証明してくれる。
「…こんな写真をとって置いてくれたの…?」
「そうよ。お父様の部屋に、データがちゃんと保管されていたわ。あと、ほら!凛とも写っているのよ?」
それは、レスカーデンの初等部の制服を着た梨咲を猫の凛が優しく見つめているものだった。
「レスカーデンに行くお姉ちゃんの傍にいると決めたのは凛自身だった、ってお父様もお母様も言っていたわ。お姉ちゃんは確かにみんなに愛されていたのよ?後、コレはこっそり私が入れたの。お母様が嫌がっていたけどね。」
そう言って指し示した写真は、
母ではない女性が赤ちゃんを抱きながら、幼児と楽しそうに話している写真だった。
「これ…愛美様と、美花?」
「そうよ!この女の子は勿論お姉ちゃんだよ!」
愛美の眼がとても優しくて、梨咲は涙が溢れた。
「お母様もお姉ちゃんの結婚式に来れば良かったのに、どういう顔して会えばいいかわからないとか言っちゃってさ!今度、会ってあげてよ。」
「勿論よ。その時は是非家族写真を撮りましょう!」
梨咲の提案に美花も微笑んだ。
「お父様とのツーショットはバージンロードを歩く時にバシャバシャ撮るからね!」
美花の気合いの入り様に梨咲は笑った。
「写真か… 凛とも撮りたかったな…」
梨咲は結婚式に参列しない凛の気持ちを汲みつつも、残念な、寂しい気持ちを感じていた。
「わかった!式が終わったら凛も捕まえてくるね!
まったく困った男達ね…!」
美花が握り拳を作って怒るので、梨咲はまた笑った。
トントンと扉の叩く音がして、マリーが入ってきた。
「お姉様…!素敵です…!」
梨咲を一目見ると、マリーは口を押さえて涙目になった。
「ふふっ。ありがとうマリー。とうとう姉妹になる時が来たわね。私にはかわいい妹が2人もいるのね…♡」
そう言うと梨咲はマリーと美花に抱きついて、それぞれの頬にキスをした。
「きゃ〜〜〜///♡♡♡」
3人で騒いでいると、ルイスも入ってきた。
「楽しそう…」
ルイスが寂しそうにぼやいた。




