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真実

「おー おー こっわい顔!(笑)」

ルイスの母はルイスをからかう様に笑った。


「…全部知ってたんですか?」

無表情で静かにルイスが口を開く。


「愛美に口止めされてたのに言えないじゃない…。

でも梨咲ちゃんが幽閉されてるのはルイスからの報告で知ったのよ。留学だとばかり思っていたから驚いたけどね。」

ルイスの母はお茶を一口飲んでから息を吐いた。


「可愛がっていた梨愛ちゃんに突然逝かれて、その後妻に、だなんてかなり動揺していたわ。魔力の強い正統順だから仕方がないんだけどね。梨咲ちゃんの事もかなり気にかけているけど、どういう顔をして会ったらいいのかわからないんですって。そりゃあそうよね…。」


梨咲は複雑な気持ちを抱く。

今まで 嫌われていて、一切何も知らされないのだとばかり思っていた。

愛美の気持ちをどう受け止めたらいいのか、梨咲にもわからなかった。


「お母様に会ったんです。卒業式の少し前に…。

お母様と凛は愛し合っていたんですね。あるじと側近という立場故、互いに秘めてお父様と結婚したのに、お母様は耐えきれなくなったと教えてくれました。」


梨咲の言葉にルイスは動揺した。

まさかこんな時に梨咲の母の自害の真相を知るなんて思わなかったし、凛と梨咲の母の気持ちを思うと悲しくなった。


好きな人の近くで 好きでもない人と結婚する

正直な心は やがて 現実世界を受け止められず…

1番最悪な結果を引き起こした。


「そう。梨愛ちゃんが現れてくれたの。余程、凛を心配したのね。」

ルイスの母の言葉に梨咲は頷いた。


「凛の幸せを願っていました。凛も会えたんです。やっと、母から開放されるのではないでしょうか?」


「そう。凛もやっと、踏み出せるのかしらね?」

ルイスの母と梨咲は凛を想って微笑みあった。


それから梨咲は気になった事を質問する。

「… あの、ルイスとの婚約は 愛美様が…?」


「そうね。可愛がっていた梨愛ちゃんの愛娘の嫁ぎ先はかなり慎重に考えたみたいよ。で、ウチの子と結婚して幸せになれるのか…?ってのは疑問だったけど(笑) 色々考えたら妥当だわね。」

ルイスの母はルイスの様子をちらりと伺いながらお茶を飲んだ。


「何か…面白くない!」

ルイスは不貞腐れた反応をする。

母は予想通りの息子の反応に笑った。


「ふふっ。ごめん、ごめん。言い方が悪いわね!みんながルイスに期待してたって事よ!貴方なら梨咲ちゃんを守れるってね。」


母の言い換えに、ルイスは機嫌を直した。

そしてまんまと手の上で踊らされていることを自覚する。

母はいつもこういう操作が上手いんだよな…。


梨咲はその様を なるほど、勉強になります! と思って見ていた。


「貴女のお父様も、心配して、気にかけて、よく娘を守ったと思うわ。色々と思う事はあるでしょうけど…。明日は笑ってあげて?コレは私からのお願い。」


ルイスの母にウインクされると梨咲の心は温かい気持ちに変わった。

何か…魔法でもかけられたみたい…


「…はい。」


梨咲が笑いかけると、ルイスの母はときめいた。

「はぁ〜♡梨咲ちゃんって本当に美人さんなのね♡お人形さんみたい♡ルイスには勿体ないわね…。」


「勿体なくない!」

ルイスが即座に反論する。


「ふふっ。そうよね。

明日が楽しみね♡ 愛美も来るといいのだけど…」





寝室に移った梨咲はベッドに腰掛けて父の事を想う。



冷たい目で威圧的に従わせてきた癖に

感謝してきたり 泣く とか…。

結局私には父の考えていることはわからない…

私に対しての愛情なんて無かったんじゃないの…?



突然梨咲は肩を押されてベッドに押し倒された。

覆いかぶさってくるルイスを無言で見つめる。


「無反応…!つまんな〜い!」

ルイスがむくれる。


梨咲は静かに目を瞑った。

「…お互い愛してないのに… 望まれてないのに…

どうして生まれてきたんだろう…?」


呟く様に静かな梨咲の言葉にルイスはハッとした。



父と母はそれぞれに好きな人がいたのに、何で私は生まれてきちゃったのだろう…


梨咲は静かに涙を流した。


「それでも俺は梨咲さんに会えて幸せです。梨咲さんは俺の為に生まれてきてくれたんでしょ?」


梨咲が目を開けると、ルイスが嬉しそうにニヤニヤしていた。


梨咲はフッと笑う。

「そっか。ルイスに会うために生まれてきたのか…」



ルイスの温もりを感じながら梨咲はそのまま眠りについた。


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