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卒業式

梨咲は寮の自室で目を覚ました。


今日は… よいよ卒業式…。

それから この部屋とも もうお別れなのね…。


ベッドの上から部屋全体を見渡す。

移動準備の為、ダンボールだらけになっている。


ベッドから起き上がり、制服に着替える。


備付の机とベッドに手を置く。

「今までありがとう。 どんな時も支えてくれて…

ありがとう。」


机とベッドに触れると、自然に回復魔法が発動されて、新品な状態に変わった。

梨咲自身も驚きつつ、自分の今の気持ちを理解する。


感謝の気持ちでいっぱい ってとこね !


部屋から出て寮の中を歩いて回る。 

廊下に階段。お風呂場に… 食堂、談話室…


寮を出て振り返る。


12年間をここで過ごした。

悲しい思いを沢山したけど…


私にもちゃんと、愛してくれる人が現れた。


愛の無い政略結婚に、殺意に似た感情を秘めて、無表情にここを卒業するのだと思っていた。


幸せになってね…


寮に住む精霊達の声を聞く。


みんな、本当にありがとう。


やっぱり最後は、あの場所だよね…。


梨咲は東の森の展望台を目指した。

1段1段を踏みしめたい気持ちだけど…流石に時間がないな…(笑)


そうして展望台までやってきた。


ココには 本当に沢山の感情を持ち込んで…

そしてココから見える見事な景色に何度も救われた。


「ありがとう…。」

展望台に抱きつくと、まるで抱きしめ返されているような気分を味わった。


幸せになってね…


「…っ!」

精霊達の声に泣きそうになった。


まだ… 早いよ。 卒業式は これからなんだから。


礼拝堂に着くと卒業生、在校生、学校関係者、父兄が集まり始めていた。


馴染み深い先生方に挨拶して周り、寮の食堂のおばちゃんと、カフェの店長さんには泣きながら抱きつかれた。

「あの梨咲が卒業なんて、寂しくなるわねぇ!

幸せになってね!」

「本当に…お世話になりました。2人には感謝しきれないよ!体に気をつけてね!」


それから、12年間をほぼ一緒に過ごした同級生達の輪の中へ…

みんなの顔を見ると、今日でもう会えないのね…と堪えていた涙腺が崩壊した。

「梨咲!泣かないでよ!こっちまで泣けてくる〜!」

「卒業式、まだ始まってないのに〜!」


みんなと抱き合ってわんわん泣いた。


ねぇ、4年前までの私… 想像出来る?

こんなに同級生、仲間達と抱き合って、泣いて、笑って卒業するなんて…

想像も出来なかったよね。


こんなに自分の感情を素直に出せるのは…


ルイスのお陰だね。


「梨咲さん…。卒業生代表なのに、顔が可哀想な感じになってますよ?」


ルイスが労る様に梨咲の涙を拭く。


「回復魔法が追いつかないくらい涙が止まらないよ…!」



その後 卒業式は滞りなく行われた。



卒業式を終え、礼拝堂の控室に行くと、父と中央政府の関係者がいる。


12年前に訳もわからずに結ばされた契約書が目の前で破棄されると、梨咲の周りで風が暴れて、それから落ち着いた。


「梨咲。コレで外の世界に出られるよ。今まで本当に…よく頑張ったね。ありがとう。」

父の言葉に梨咲は驚いた。


こんな…感謝を言われるなんて思わなかった。

同時に少し怒りも込み上げる。


感謝なんてされたら、今までの私が可哀想みたい…!


梨咲は父の顔を見ずに踵を返して、俯いたまま部屋を出た。


父親の前で涙を流すなんて御免だ…


部屋を出るとルイスが立っていた。

ルイスは梨咲の表情を読み取ると、ぎゅっと抱きしめた。

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