父親会議
レスカーデン 高等部応接室
梨咲の父、魔法省長官とルイスの父、国際魔法局局長は1年後に迫る結婚式の段取りについて打ち合わせをしていた。
「早いですねぇ…。婚約を決めてからもう4年経ちますか…!」梨咲の父が笑う。
「いや、まったく!気がつけばあと1年!早いですねぇ!梨咲さんがウチに嫁いでくれるなんて、畏れ多いですなぁ!大変優秀なお嬢さんですからね!」
ルイスの父も笑った。
「いやぁ、とんだ跳ねっ返り娘で申し訳なく思いますが…ルイス君が気に入ってくれているのが救いです。よろしくお願いします。」
梨咲の父は冷や汗をハンカチで押さえながら、ルイスの父に頭を下げた。
コンコン
突然ドアをノックする音が聞こえた。
「お父様!梨咲です。」
「噂をすればですなぁ!」ルイスの父は微笑み、梨咲の父は嫌な予感を感じながらドアを開けた。
ドアを開けた父はぎょっとした。
梨咲は 顔、手、服が切れ、血だらけで、ぼさぼさの髪の毛には葉っぱや枝が刺さっていた。
「な…?」父は絶句した。
「お父様!ルビ鳥を捕まえたんです!美花に見せてあげたいの!連絡を取って!」
「は… ルビ鳥?」
父はフリーズした頭を何とか働かせようとする。
ルイスの父も梨咲のすごい格好に驚いたものの、ルビ鳥を捕まえたと聞いて立ち上がった。
「梨咲さん!ルビ鳥を捕まえたのかい?!」
「?」
話に入り込んできた、父と同じ年くらいの男性を見て、梨咲は疑問符を浮かべる。
ハテ?この人はどなた?
「梨咲… ルイス君のお父様だ…」
父に紹介されて、梨咲は青ざめ、慌てた。
「ああ!! すみません!こんな酷い格好で…!」
コレが梨咲とルイスの父の初対面だった。
梨咲の父は深い溜息と共に項垂れたが、ルイスの父は梨咲の持つカゴを目を輝かせて見る。
視線に気がついた梨咲はカゴを見えやすい様に差し出した。
そこにはなんとも美しい虹色の、体長5センチ程の小さな小鳥が眠らされていた。
「梨咲さん!よく捕まえたね…!この鳥は、本当に飛行速度が早いから、目撃することはおろか、捕らえるなんて…!大したモノだ…!」
ルイスの父が感嘆の声を上げた。
「ルビ鳥は動く事で生命維持している鳥なので、早く放してあげないと死んでしまう!お父様、早く美花を呼んで!」
「え〜! 面倒くさいなぁ…!」
父の言葉に梨咲が睨むと、
「もぉ、わかったよ!」
父は肩をすくめて美花に連絡を取った。
梨咲はルイスの父に向き直ると、改めて場を荒らした事を謝罪した。
ルイスの父は笑った。
「ふふっ。梨咲さんの話はみんなから聞いていたよ!ルイス、英長官、マリーに凛! やっと本人に会えましたね!」
マリーによく似た温かな笑顔に梨咲はホッとした。
「本当に…大変失礼致しました。一刻も早く妹に見せたかったものですから…。」
「いやいや、梨咲さんは優しいんだね。これから家族になるのを楽しみにしているよ?」
ルイスの父の温かい言葉に梨咲は涙が滲んだ。
コンコン
と更にノックの音がして、梨咲が扉を開けると、ルイスと凛が立っていた。
父親に挨拶に来た2人は、いると思っていなかった梨咲に驚き、更に傷だらけの格好に頭を抱えた。
『…何してるんですか?』
ルイスと凛が呆れた声で質問する。
「だって… やっとルビ鳥を捕まえたの…」
「もぉ!梨咲さん!こんなに傷にして!治すからこっちに座りなさい!」
ルイスに強引に腕を取られて梨咲は引き摺られる様にイスに座らされた。
「大丈夫だってば!今から美花が来るから、ソレが終わってからゆっくり治すよ!」
「美花さんだって、梨咲さんのそんな姿見たら驚いちゃうよ!大人しく言うことを聞いて下さい!」
ぎゃあぎゃあと梨咲とルイスは言い合いを始めた。
「大人しくしてないと、親達の前で襲っちゃうよ…?」
ピタッ
それから梨咲は大人しくルイスの言うことを聞いて、回復魔法をかけて貰った。




