鬼ごっこ
ピクッ
梨咲は勢い良く振り返り、ルイスの眉間に人差し指を置く。
「あ…っ!」
背中から梨咲に抱きつこうとしたルイスは、そのまま抱きつけずに固まった。
「ふっふっふ♡ 大分わかるようになったよ!ルイスの気配♪」
梨咲の特訓は続いていた。
「えぇー…!」
ルイスは膨れた。
「ねー、ルイス!鬼ごっこしよう?私が鬼ね?♪」
にこにこと嬉しそうに梨咲は言う。
これは…相当に自信があるな?
ルイスも気合いが入る。
「梨咲さんが負けたら俺の言うこと聞いてね?」
「ふふっ!いーよ♪ どうせ負けないし!」
バチバチッ 2人は火花を散らした。
ルイスが逃げて10秒後、梨咲が後を追う。
ルイスは校庭の木の上で梨咲の様子を伺っていたが、次の瞬間、気配を消した梨咲のしなやかな白い手が見えてドキッとした。
追ってきた!?!
風の魔法も使ってスピードを上げてそこから逃げるが、梨咲は纏わりつく様に追ってくる。
「…っ、くっ…!」
ルイスは低く唸る。
前より全然スピードが速くなってる ‼
これは…捕まるのは時間の問題かも…。
一瞬の気の緩みで捕まる!
かくなる上は…
一方の梨咲もルイスを追い詰めていると手応えを感じていた。
前よりルイスの動きがわかる。
それに…追いつける!!
しかし さすがはルイス…。
追い詰めるのに、すばしっこい…!
最後が捕らえられない。
梨咲は最近ルビ鳥を捕らえる為に編み出した、水魔法での拘束を試みる。
掌から水柱がうねり、溺れさせる様に拘束する。
! 捕えた!
と思ったのに、ルイスはそこから小鳥に姿を変え、梨咲の術から逃げた。
「あ…あれ?捕らえたと思ったのに…!」
チッと梨咲は小さく舌打ちして、小鳥になったルイスの後を追う。
それから2〜3分追い回し、
「! 捕まえた〜!!!」
と、拘束する。
「ふっふっふ♡ 私の勝ちだよ〜♪」
そうして捕らえた小鳥を確認するが…
あれ…? 本当の小鳥だな…
梨咲は静かに頭に血が上った。
ルイスのヤツ、この本物の小鳥に、自分の気配を移したな…。そうして自分は気配と魔力を潜め、雲隠れか…!
「…やってくれるじゃないの…!」
梨咲はまんまと騙され、ダミーを追いかけ回していた自分に腹を立てる。
でも、ちょっと感心もする。
成程!戦術として、そういうやり方もあるのね…!
梨咲はルイスの気配の探知に努める。
どんなに気配と魔力を潜めても、0(ゼロ)には出来ない。捜すんだ…!
梨咲は目を瞑り、それからハッと気がついて振り返る。
ルイスが目の前に迫ってきていた。
上から襲いかかってきたルイスに押し倒さる。
「な…! あ…っ!」
驚き、慌てる梨咲を余裕の表情で見下ろして、ルイスは梨咲の唇を奪う。
「ん…っ!」
執拗なキスに梨咲はゾクゾクと肩を揺らす。
「や… あ… !」
自分の声が甘く響いて、梨咲はドキッとして慌てる。
「ふふっ 可愛い! 気持ちいい?」
ルイスに聞かれて、梨咲は顔を真っ赤にして目線を逸らす。
「まだ…梨咲さんに捕まる訳には行きません。」
ルイスはわざと耳内してくる。
顎を軽く持ち上げられ、ルイスが優しくキスをする。甘く痺れて、梨咲は完全に力が入らなくなった。
顔が 熱い…
「悔しい…!」
梨咲は目を瞑って悔しさを滲ませる。
ルイスは微笑む。
「『戦意を奪って、俺の前でだけはただの可愛い梨咲さんにしてしまいたい♡』」
ルイスはいつかに望んだ事を叶える。
本当に…このまま襲ってしまいたい程、可愛い…
ルイスは深く息を吐いて衝動を抑える。
「さ〜て♡どんな言うことを聞いて貰おうかな?♡」
ルイスは嬉しそうにニヤニヤと笑った。
梨咲はハッと気がついて冷や汗を流す。
「…また何かやるの…?(コスプレ?)」
「あれぇ?梨咲さんもノッてきた?じゃあ1日中俺のメイドさんでいて貰おうかな?」
「嫌よ!!!」
「あ〜、そうだ!やり直しだったじゃない♡もう1回梨咲さんにメイドさんになって貰わないと♡はぁ…想像しただけで興奮する! ♡♡ 意地悪なお願い、いっぱいしちゃお♪」
「…絶対に面白がってるよね!」
「うん♡ 梨咲さんの反応がイイからね♪」
梨咲は死んだ目でルイスを見た。




