手の内
「フォーストラム大学への進学を…決めたんですね。」
ルイスの言葉に梨咲は顔を上げた。
「勝手に決めた事…怒ってる?」
「…少し。凛とだけじゃなくて、俺も加わりたかったな、とは思いました。その決断を、近くで見守りたかった…」
ルイスは正直に残念な胸の内を話す。
梨咲も、勝手に進路決定した事を、少し気にしていた。
「ごめんね?でも、凛はアドバイスだけで、殆どは自分なりに考えたの。」
「うん。わかりましたよ。英様(梨咲の父)にも抵抗したそうですね。強い梨咲さんの気持を感じました。だから…進路に関しては怒っていません。寧ろ…嬉しいです。」
ルイスが思ったより怒っていなかったので、梨咲はホッとした。
「ありがとう。ルイスのお陰だよ。この約2年、私の気持を受け止めてくれたでしょう?
素直になるのは最初は難しくて…
でもルイスが一生懸命引き出してくれたでしょう? そしたら周りとの距離も近くなって、自然と楽しく思う事が増えて、信じられるモノが増えた。
だから、いくら父親に反対されても、今回は怖くなかった。
ルイスは寂しく思ったかもしれないけど…。
1人で決断出来た事が、1つ、これからへの自信になったよ!」
手の内で大事に育てた雛が巣立つ様…。
ルイスは少し寂しさを感じつつ、梨咲の笑顔を見ると嬉しくもあった。
複雑…
やっぱり梨咲さんは俺の手の内には収まらない。
でも… それでいい。
梨咲はルイスを見つめると、ふとルイスの唇に触れる。
ルイスは突然悲しそうな顔をした梨咲に気がついた。
「? …!
あぁ!トラウマになっちゃいました?」
美花とキスした事を思い出した梨咲はどうしょうもなく悲しくなった。
「ルイスを1番信じてるよ。」
梨咲は涙目でルイスを見上げる。
「…信じてるって顔じゃないですよ… 」
ルイスは苦笑いしつつ、心は満足に満たされた。
そんなに傷ついたんですね。 可哀想に…!
でも、ごめんなさい、凄く嬉しいです…!
手の内から離れても
梨咲さんの心は どこか 不安に俺を追いかける。
酷いよね。それが堪らなく嬉しいなんて…
愛しいなんて… 俺は 歪んでる。
「…何でそんなに嬉しそうなの?」
「そんな事はないですよ!物凄〜く反省してます!」
ルイスは慌てて悲しげな表情を作った。
「外の世界は不安だろうけど… 無理しないで?
梨咲さんは梨咲さんのままで、慌てなくていい。
じゃないと、こうやって離れた時に心配になるよ…。」
「ルイスに心配かけたくないから、もっと強くならなきゃと思って…」
「梨咲さんが俺の隣で一緒に歩いて行こうとしてくれるのがわかります。嬉しいです。でも…無茶されちゃうと、余計に心配しちゃうよ?」
ルイスの言葉に梨咲は少し反省する。
「うん。無茶しないように気をつけるね…。」
「大学も一緒ですね♡学部は違いますが…。
梨咲さんはもう、本能で俺を好きですね♡♡」
ルイスの進学先を知らなかった梨咲は驚いて、考え直す。
「えっ!そうなの?!…やめれば良かったかな…?
考え直すか…。」
「え?ソコ、考え直さなくていいでしょ…?」




