帰省
ルイスは溜息をついた。
父の指示により、関係深い各国を訪問し挨拶周りをしていたのだが、どこを訪れても必ず梨咲の話になる。
それも梨咲をモノの様に、上手く扱えるのか、活かせるのか?という話題に尽きる。
話の中に垣間見える梨咲というモノを手に入れたルイスへの嫉妬、同情、挑発、高みの見物…。
父や凛から話には聞いていたが…まさかこれ程とは…
13歳という若さで難易度A指定の水魔法を完成させた天才。考古学の世界でも、古語を12歳で完璧に読み熟し、解読、分析した論文は世界に衝撃を与えたと言われている。
他にも天文、気象、理工学にも精通し、高い評価を受けたにも関わらず、闇に葬られている様だ…と。
そこまで来ると事実かどうかは怪しいが、とにかく梨咲はすごく注目されていて、この結婚は多くが喜んでいない。
相手が国際魔法局の次男で、各分野で評価の高いルイスだから致し方なく手出し出来ない、といった状態。
成程… 十分にわかりましたよ。
父や凛が何を言いたいのか…。
確かに平和ボケしていると、足元を掬われますね。
全ての国を予定通りに訪問し終えたルイスは、久々の母国に足を付くと安堵した。
「お兄様!お帰りなさい!!」
マリーが走って飛びついてきた。
「ただいま。マリー!随分とお姉さんになりましたね!」
マリーは14歳。背も伸びて、益々かわいくなった♡とルイスは久々の再会を喜んだ。
「お兄様、お姉様はお元気ですか?」
「元気いっぱいだよ(笑)あ、凛も元気だよ?」
「そ… そぅですか… /// 」
マリーがわかり易く顔を赤くしたので、ルイスはちょっと凛に嫉妬する。
「へ〜♪ 凛が大好きなんだ?」
ルイスがマリーをからかうと、マリーは下を向いて泣きそうな顔をした。
その様子に、ルイスは何とも申し訳ない気分になる。
「ごめん…。」
「いいえ。元気だという事で安心しました。」
「マリーは凛のどこが好きなの?」
「…誠実で、優しい所です…。」
「優しい…! 凛が?」
「はい…。」
マリーの嬉しそうな笑顔に温度差を感じる。
あの鬼畜が優しい?
JOKER(浄化)の前では鬼も形無しか…?
「会いたかったね…?」
ルイスはマリーを気遣う。
「…凛には凛のやることがありますから。」
「大人だね…。寂しくないの?」
「とっても寂しいですよ? まだまだ子供ですから。」
気丈に振舞うマリーをルイスは抱きしめた。
「ふふっ。お兄様もお姉様に会いたいですね。」
「うん… そうだね…。」
ルイスがマリーと家に帰ると、家の前には懐かしき幼馴染が2人いた。
「あ〜!やっと帰って来た!この不良息子!」
幼馴染達はルイスを発見するとぎゃーぎゃーと騒ぎ出す。
「あれ?何でいるの?」
ルイスは首をかしげる。
「バカヤロウ!お前が帰って来るっていうから集まったんだろう?!」
幼馴染の喚きにルイスは笑った。
「久しぶり〜!」
「本当、久しぶり!お前、忙し過ぎて全然会えなかったじゃん!」
「まぁ、帰って来てもやることを押し付けられるからね。」
「美少年が美青年に…!相変わらず顔だけは整ってるな!」
「何ソレ?喧嘩売ってんの?」
「ルイスに喧嘩なんて売っても瞬殺でしょ〜?」
ルイスは帰省して初めて表情が緩んだ。
仲良し3人組。 久々の再会で話が弾んだ。




