ガーネットレッドアイ
ディランとルイスはお互いを注視したまま動かない。
次の攻撃をどう仕掛けるか考えている。
梨咲はルイスの胸に抱かれながら慌てていた。
この2人が本気で攻撃を仕掛けたら、学校が壊れちゃう!!何人もの生徒が負傷し、酷いと死傷する…!
結界…じゃダメだ。
幻影魔法で2人を隔離しなくちゃ…!
梨咲がよろよろと幻影魔法を発動させようとすると、
突然生徒会室のドアが勢いよく開いた。
派手なドアの開く音に、思わずその場にいた3人はドアに注目した。
1人の女生徒が荒く息を吐きながらこちらの様子を伺う。
ふわふわとしたストロベリーブロンズヘアにガーネットレッドの瞳…切れ長の目が妖艶な印象を持つ。
「梨咲…!」
梨咲を発見すると女生徒は走って梨咲に近づいた。
「! ネファ先輩…!」
梨咲が顔をあげるとネファは梨咲に飛びついた。
「梨咲!大丈夫?助けに来たよ?またディランに苛められてた?」
ネファは色々な角度から負傷が無いか、梨咲を確認する。
ルイスは突然のネファの登場に呆然とし、ディランは「とんだ邪魔が入った」と言わんばかりに青筋を立てて溜息をついた。
「あぁ♡梨咲♡可愛いわ♡相変わらず♡
吸い込まれそうな大きな瞳、形のいい赤い唇、白くて弾力のある美しい肌…、漆黒の髪…♡」
ネファはうっとりと梨咲を見つめて梨咲の頬に触れる。わきまで長い漆黒の髪に指を通してするりと梳くと頬を赤くして微笑んだ。
不安気に見つめる梨咲の視線に気がついたネファは突然鼻血を流した。
「あああ!ネファ先輩!!」
梨咲が慌てて持っていたティッシュを差し出す。
「ごめん。ごめん。可愛い梨咲に見つめられたら鼻血が…!」
ネファはティッシュで鼻血を押さえる。
それから梨咲の傍らにいるルイスに気がつくと、ネファはキッとルイスを睨んだ。
「貴方が梨咲の婚約者?!」
「…はい。」
ルイスが返事をする。
ネファは暫くルイスをジロジロと値踏みする。
「…イイ!」
突然顔を緩めてネファは妖艶に微笑む。
「よく梨咲の魅力をここまで引き出したわ♡貴方、合格よ♡」
そう言うとネファはルイスから引き剥がす様に梨咲の肩を掴んで押し倒す。
ルイスはぎょっとした。
梨咲に覆い被さるとネファはうっとりと梨咲を上から眺める。
「はぁ…♡ キスしたいくらい♡」
顔を近づけて梨咲の唇の弾力を指で触れて確かめる。
「…ネファ先輩…」
押し倒された梨咲が困った顔をすると、ネファはまた鼻血を流した。
「鼻血、拭いて下さい…」
梨咲が起き上がりながら更にティッシュを差し出す。
「ああ…! 美しく成長したわね、梨咲♡ 本当に…イイわよ♡」
ネファは指を咥えて物欲しげに梨咲を見る。
梨咲は何とも言えない顔をする。
「ネファ先輩の方が素敵ですよ?」
「まぁ!梨咲ったら…!」
ネファはおでこに手の甲を乗せ、ふらついた。
「ネファ…邪魔だ!」
ディランが頭を抱える。
「ディランこそ、また梨咲を困らせているの?梨咲を悲しませたら殺すわよ?」
「お前の方がいつも梨咲を困らせてるだろ?!」
「嫌ぁねぇ!私は梨咲が嫌がる事はしないわ!っていうか、何、あの入学式!在校生代表の癖に堂々と公開セクハラしてんじゃないわよ!私の梨咲に堂々と触れるなんて…!」
ディランとネファが言い合いを始める中、
ルイスは1人、状況が掴めなかった。
このネファとかいう女の人は一体何者なんだ?
予期せず梨咲が襲われかけた事に警戒する。
「ルイス…。ネカテリファ・エレナ・ハーランド先輩よ。中央政府最高顧問の一人娘なの…。」
梨咲が説明する。
最高顧問…
「もっと逆らえませんね…。」
ルイスがこそっと梨咲に言う。
「ディラン先輩の正当な婚約者な筈なんだけど…。いつしか拗れて、2人の執着が私に向けられているのよね…。」
「成程。厄介ですね…。」
「ネファ先輩は愛情表現激しいけど、そんなに嫌な人じゃない。ディラン先輩からいつも守ってくれるし。」
「ネファ先輩も梨咲さんが好きなんですね…。」
ルイスはうんざりする。
「可愛がって貰うのは有り難いけど…ちょっと激しいのよね…。」
ルイスは違和感を覚える。
梨咲は疲れた顔でディランとネファのやりとりを傍観する。
「…この隙きに逃げるよ?」
梨咲とルイスはそそくさと生徒会室
から逃げ出した。




