終わるための始まり
生徒会室に着いた。
梨咲はルイスの顔を見て頷き合うと、生徒会室のドアをノックした。
するとドアが自然に開き、強い風に梨咲は引き込まれる。
同時に逆風が吹いて、他のみんなは生徒会室から弾かれた。
「…っ!みんなっ!」
梨咲が振り返ってみんなを心配する中、梨咲だけが生徒会室に連れ込まれた。
風に連れ込まれた梨咲は生徒会室の真ん中に放り出されて転んだ。
「…っ!」
膝と肩を打ち付け、痛みを感じながら起き上がると目の前にディランがいた。
「随分と大勢で来たね。梨咲。」
ディランはくすくすと笑うと座り込む梨咲の前に座った。
同時に梨咲の足元から木の枝や蔦が顔を出し、梨咲の体を拘束する。
ぎりっと締め上げられて、梨咲は思わず低く唸った。
苦しくて顔が歪む。
ディランは縛り上げられた梨咲の頬を撫でて不敵に笑う。
「梨咲が来るのをずっと待っていたよ?さて、早速ピンチだね。この状況を梨咲はどう打開するかな?」
くくっと笑いながらディランが梨咲に近づく。
「すっかり女らしくなったね…」
顎をつかまれてディランの顔が近づく。
と、突然梨咲の胸元から小鳥が顔を出した。
ディランが驚き一歩後退ると、
梨咲を拘束していた枝や蔦が燃え、拘束を解いた。
小鳥からルイスは姿を戻し、むせて苦しむ梨咲を抱えてディランから離れた。
「お前は…?!」
ディランはルイスを驚きの顔で見る。
「ルイス・デヴィッド・ロートンです。」
ルイスが挨拶をするとディランはチッと舌打ちをした。
「お前が梨咲の婚約者か…!国際魔法局局長の次男だな?!」
ディランがルイスを睨む。
「レディに対して随分と手荒な事をされますね。私の婚約者を傷つけるなんて許せません。」
ルイスの言葉にディランは鼻で笑いとばす。
「ふん、婚約者か。笑わせる。
政略結婚の癖に恋人ごっこか?
梨咲を手に入れて国際魔法局はどうするつもりだ?
私なら梨咲の能力を存分に活かしてやれる。」
ディランは手を伸ばして梨咲に話しかける。
「梨咲はもっと高みへ行ける。もっと能力を開花出来る。それだけの環境を俺だけが用意出来る。梨咲の能力は素晴らしい!誰よりも認めている。だから、ここにおいで?」
「相変わらず魔力の強さだけで人を判断なさいますか…。素晴らしい勘違いです。」
梨咲は静かにディランを見る。
「ディラン先輩の魔力も確かに素晴らしいですが、他者を幸せにしません。そんな魔力に私は魅力を感じない。」
梨咲がディランの誘いを断ると心底驚いた顔をする。
「あれ?どうしたの、梨咲。梨咲はもっと魔力を磨く事に必死だったでしょう?それともそこの坊やとの恋愛ごっこにでも嵌ったの?」
梨咲はハッとしてルイスを引っ張る。
「ルイス、跳んで!」
2人で後方に退くと、先程までルイスがいた場所にカカッと氷の刃が突き刺さった。
「殺しはしない。ただ、邪魔者は消えて貰う。」
ディランが攻撃魔法をルイスに仕掛ける。
ルイスは防御魔法でディランの攻撃を弾いた。
その様を見たディランは少し悔しそうな顔をする。
「…一応出来るのか。ああ、国際魔法局だもんね。
それにしても梨咲も面食いなんだね。こんな可愛らしい顔の婚約者だなんて。レイドリューみたいになったら可哀相だよ?」
眉毛を下げて同情する様な顔をする。
ルイスは隣にいた梨咲の肩を掴むと引き寄せてキスをする。
「?!」
突然の事に梨咲は驚く。
『またコイツは…!こんな時に何やってるの!!』
梨咲は怒りながらどんどんとルイスの胸を叩く。
ルイスのキスは構わずにどんどん深くなって、最後には梨咲は抵抗が出来なくなった。
顔を真っ赤にしてくったりとした梨咲にルイスは満足する。
「恋愛ごっこではありません。身も心も分かち合った恋人同士です。こんなに可愛い梨咲さんを貴方には渡せません。」
ディランは驚きの顔で梨咲とルイスを見た。
「へぇ…!よく梨咲をそこまで手懐けたね!
ルイス…だっけ?君にもちょっと興味が湧いたよ…。」




