表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/59

任せる

礼拝堂-

クラスメイトと共に卒業式に参列していたルイスは顔を押さえて深い溜息を吐いた。


朝から梨咲さんの姿が見えなかった。

ここ最近の様子から、何も言わないけど、祈祷舞をするのだろう…とは思っていた。


が…


何?あの透明感! 神々しさ!

美しくて… 


「…っ ///」

ルイスは顔を真っ赤にする。


惚れ直してしまった…。


目を瞑っているのに瞼の裏がチカチカする。

梨咲が美しく舞う姿が頭から離れない…


ああ、もう!梨咲さん!

こんなに俺の心を奪うなんて… どうしてくれるの…!

マズいよ… 好き過ぎる…


ルイスは居ても立っても居られなくなり、梨咲の元へ駆け出す。



祈祷舞が終わり、制服に着替えた梨咲は、ネファのアドバイスで礼拝堂から離れた。

「梨咲に惚れちゃう子もコレで続出ね♡逃げた方が良いわよ?」

そうして大人しく…1人、東の森の展望台に来ていた。


確かに…何だか知らないけど、中学の時も祈祷舞の後は大変だった。

何人もの知らない生徒に声をかけられて、しつこくデートに誘われて…。

まぁ、凛が睨みを利かせて一掃してくれたんだけど…。



展望台は、いつ来ても落ち着くな…


原っぱに大の字になって寝転び、空を見上げる。

心地良い疲れと、心を満たす達成感…。

そよ風が優しく全身を包み込む。

寝てしまいそう…。




ふと気配を感じて目を開けると、ルイスがいた。

顔を覗き込んでくる。


「…相変わらず 突然出現するな…」

梨咲はルイスに感心する。


「こんな所で何してるんです?襲われてしまいますよ?」

「襲われない様に逃げて来たんだけど…?よくわかったな!気配と魔力を抑えていたのに。」

梨咲の言葉にルイスは やっぱり… という顔をする。

「ええ。探知出来なかったので一瞬焦りました。どうかされたのかと。お陰で梨咲さんの行きそうな所を虱潰しにあたる羽目になりました。」

ルイスの言葉に梨咲は笑う。

「ふふっ。そうか!それは…ご苦労だったな!」


梨咲の隣に腰を落として座る。

無邪気に笑う梨咲を見ていると、さっきの見事な舞を披露した同一人物とは思えないな…とルイスは感心する。色々な顔を持つ彼女に、ルイスの心は囚われっ放しだった。


「祈祷舞、美しかったですね…! 更に、好きになってしまいました…」

ルイスの言葉に梨咲は青ざめて起き上がった。

「え? 勘弁してよ!これ以上の嫉妬は嫌だよ?」

心の底から嫌がる梨咲の反応を苦笑しながら、ルイスは髪や制服に付いた土や葉っぱを手で払ってあげた。


すると、ふわ…っとネファの気配を感じた。

ネファは突然梨咲の背後に現れ、梨咲に抱きつきながらルイスににこやかに挨拶をする。

「ふふっ。ご機嫌よう ルイス!」

「こんにちは。ネファ先輩!ご卒業おめでとうございます。 素敵な歌声でしたね…!」

ルイスもにこやかにネファに挨拶をする。


「まぁ!ありがとう♡ 梨咲の舞は素敵だったでしょう?」

「ええ。ネファ先輩の美声と共に…美しかったです。」

「羨ましい?」

ネファは梨咲に頬擦りする。

「はい。とっても…。でも、嫉妬しない様に梨咲さんに釘をさされていますので…」

ルイスの言葉にネファは笑った。

「ああ!梨咲から聞いてるわ。あの白猫にも未だに嫉妬してるんですって? 嫉妬深い男は嫌われるわ。精々気をつける事ね!」

ネファは不意に梨咲の頬にキスをする。

梨咲は驚いてネファを見たが、ルイスは無表情を貫く。

「ルイスに梨咲を任せるわ。梨咲を泣かせたらすぐに奪いに来るわよ?」

ネファはルイスを睨む。


ルイスは無言で聞きながら、ネファの意図を考えていた。


「婚約者の立場であるルイスは梨咲をちゃんと愛している。魔力も実績も申し分ない。認めざるを得ない。自分の立場では梨咲を幸せに出来ない。だから、頼むわよ?  


きっと白猫もそういう気持ちだったと思うわ。」


「…え?」


突然ネファの言葉から出てきた凛の話にルイスは動揺する。

凛も… 同じ気持ち ? 

俺を 認めてた ?


ルイスは思わず梨咲を見る。

梨咲はその視線に気がつくと力強く頷いた。


『婚約者として認めない訳にもいかず…。本当はちゃんとルイス様の凄さを感じています。』

私はちゃんと、凛からそう聞いたよ。



ネファはルイスに向き直ると、叱咤激励を送る。

「自信を持ちなさいな、ルイス。私の目から見ても、きっと白猫から見ても、貴方ならちゃんと梨咲を守れると認めさせたんだから。梨咲の魅力に惹かれ、利用したがるヤツだって、これからも沢山出てくるわ。つまらない1つ1つに躓かないのよ…?」


「…はい。」

ネファの言葉をルイスは真摯に受け止めた。

そして、ルイスは凛の気持ちを想う。



ネファは梨咲にそっと耳打ちをする。

「あと2年… 我慢してね。ルイスと…幸せになるのよ…?」

ぎゅっと抱きしめられた。


「…ネファ先輩こそ。幸せになって下さい。」

梨咲はネファの左手を取って、さっきまで無かった薬指に嵌まる婚約指輪を確認してからネファに微笑む。


もうすぐ2年生。

幽閉解除まで あと、2年。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ