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独占欲

ルイスに抱きしめられて、梨咲は安心する。


今までの気持ちが 嘘みたい。

ルイスと心を通わせられない事があんなに悲しかったのに…


温かくて 心地よくて 安心する…


「…今、初めて本当の意味で梨咲さんに必要とされてるって思えた…。梨咲さんはいつも凛を欲していたから…。」

ルイスの言葉に驚き、梨咲は同時に慌てた。

「え?なんで?凛を思い出して泣きはしたけど…凛を求めてた訳じゃない…。なんでそんな事を思ったの?」


ルイスは梨咲の右の古傷に服の上から手を当てる。

「思い出すと、強くなれるのかな?とか、忘れたくないのかな…って。」


「いや、前にも言ったけど、コレは本当に消すタイミングが無かっただけで…。深い意味は無いんだけど…。」

梨咲は困惑した。

ネファ先輩の事で怒っていたんじゃないの?

まさかルイスがこの傷を見てそんな事を思っていたなんて。


「そんな事を言われても…俺は心が狭いから…そんな事、思えなかった…!」

ルイスは吐き捨てる様に言う。


梨咲はハッと思い当たって考えを改め初めた。


そうだ…

ルイスは独占欲が強いんだ…。

実の妹にまで嫉妬してしまうくらい…。

ディラン先輩の記憶をきれいサッパリ消し、ネファ先輩には圧勝の決闘を申し込む…

全て… 

嫉妬にまみれた… 対抗心と独占欲からくるもの。


凛の事をライバルだとか会わせたくないだとか言っていたんだから、私も早く気がつけば良かった。

この傷痕は… そんなにルイスを苦しめていたんだね…。

今、やっと理解した。


ルイスの置く手の上から梨咲は手を重ねる。

「じゃあ…今消して貰おうかな…。ルイスの手で。

お願い出来る…?」


梨咲はルイスの眼をしっかりと見てお願いした。

ルイスは力強く頷いた。



ずっと消したかった。

梨咲さんの体に刻まれた凛の証…

このキズを意識する度に… 俺の中で凛の存在が大きくなって

本人はいないのに… すごく嫉妬してきた。

だって、梨咲さんも凛を思い出して泣くし…


今やっと… 開放されるんだ。



梨咲は制服を脱いでタンクトップになると、

ルイスの手を取って傷まで誘導する。

ルイスはその掌から回復魔法を発動させて傷を癒やし、治していく。


そうして梨咲の右の鎖骨の下にあった、凛がつけた古い傷はすっかり無くなった。

ルイスはその状態を確認すると、ホッとして微笑んだ。

「コレで…梨咲さんを全部俺のモノに出来る…」

ルイスの言葉に梨咲は慌てた。

「はぁ…?/// 突然何言ってるの…?!」

「誘っておいて… お預けなんて、酷くない?」

ルイスはタンクトップを掴みながら上目遣いに梨咲を見上げた。


「ヤ…/// !!!」

梨咲は風の魔法でルイスを吹き飛ばして、急いで制服を羽織った。



次の日


返されたテストは最悪だった。 

過去、こんな点数を取った事はない。…20点…!

そもそも昨日テストがあった事自体、梨咲は覚えていなかった。


「ヤバ〜…!」

梨咲は青ざめた。

今なら…全部わかるのに…


後ろからふわ…っと抱きついてきたルイスが梨咲の返されたテストを見て驚きの声をあげる。

「あらら?珍しいですね!」


「ヤダ〜!見ないでよ!」

梨咲は急いでテストを隠した。

「…そんなに気にしてくれたんですね♡俺の事…♡」

ルイスは頬を赤くして上機嫌だ。


「そうだよ!」

梨咲は涙目になって怒った。


くそ〜!コレで学年トップはルイスに獲られたかな?!このあとで挽回出来るかな?

学年トップのプライドから、婚約者へ対抗心を燃やす。

それにしても…

「凛が居なくて良かった…!」

こんな点数見たら絞め上げられる処だわ…


梨咲が言ったひとことでルイスの声色が低くなる。

「また…凛なの…! 梨咲さん!」


ルイスが怒っている事がわかると、梨咲は背中から抱きつくルイスの手を解いて向き直る。

「私、嫉妬深い人、嫌い! 面倒臭い!

いい加減にして! そんなに自分に自信がないの?」


畳み込む様にルイスに説教をすると、ルイスはしゅん…と落胆する。


「堂々としてなよ!その方がカッコいいよ?

ルイスは凄い魅力的なんだから!」

梨咲がドンッ!とルイスの胸に拳をぶつけて微笑む。


ルイスは深く反省する。

確かに…情けない。 

婚約者にこんな事を言わせるなんて…。

『あしらわれるのは嫌だ!』と、強くなると誓ったのに…


「ごめんなさい…。」

「分かれば宜しい!」


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