涙のわけは…
次の日
梨咲はわかり易く落ち込む。
原因は…ルイスの嫉妬
あんなに怒らなくてもいいのに…
あれから口を聞いてくれなくなった。
そりゃあ確かに、先輩の肩を持つなんて気に入らなかったかも知れないけど…
キス…されたから 余計に怒っちゃったのかな…?
確かにそういう意味の警戒心は薄かった…
けど…
「梨咲?どうしたの?元気ないじゃん!ルイス君と仲直りしたんじゃないの?」
暗い影を落とす梨咲にクラスメイトが声をかける。
「あ、うん。ちゃんと記憶も戻ったし…大丈夫。」
カラ元気で返事する。
そうして返事する間も、梨咲の頭の中はルイスの事でいっぱいだった。
ルイスは…色々と助けてくれた。
だから、ルイスが望むから…恥ずかしいけどコスプレも頑張った訳で…
「梨咲!次の教科、違うよ?」
「え… あ、本当だ…」
「大丈夫?熱でもある?」
クラスメイトがおでこに手を当ててくる。
「熱はないみたいだけど…。って梨咲?大丈夫?」
言われている側からぼーっとルイスとの事をぐるぐると考える。
考えても何も答えは出てこないのに…
昨日は全然寝付けなかった。
「保健室行く?1人で平気?」
「…うん。」
梨咲はふらふらと立ち上がって廊下に出た。
窓の外を見て、ぼーっと考える。
私、いつからこんなに弱くなった…?
ルイスの行動1つ1つに振り回されるみたいに…
嬉しくなったり… するのはいいとして、
悲しくなる… なんて…。
それからハッとする。
そっか。私、悲しいとか… 思ってるんだ…。
ルイスに怒られて…
それから凛を思い出す。
凛に怒られた時は…
落ち込む暇をくれなかったからな…
こんな気持ちは初めてだ…。
心が イタイ…
「ねぇ、ルイス君。梨咲とまだケンカしてるの?」
クラスメイトがルイスに声をかけた。
「え?どうしてです?」
ルイスはしらばっくれて返事をする。
「なんか今日の梨咲、ずっとおかしかったから…。」
「あれ?そうでした?」
心当たり大有りのルイスはよしよしと心の中でほくそ笑む。
少しは俺の嫉妬する気持ちをわかって反省して欲しい!
「なんか、顔色が悪くて、さっき先生に聞いたら早退したみたいで…。珍しいから心配しちゃって。」
「え?」
体調不良?
クラスメイトの言葉にルイスは慌てた。
昨日、振り回したからな…。 無理させたかな?と、心配になる。
放課後ー
ルイスは小鳥に姿をかえて、女子寮の梨咲の部屋に侵入する。
女子寮は男子禁制。そのままの姿では入れない。
部屋につくと、梨咲は制服姿のまま机に伏せて寝ていた。
おでこにそっと手を当てる。
熱はなさそうだな…確認して、手を離すと、梨咲の手がその手を握ってくる。
机に伏せたまま顔だけ傾けてルイスを見てくる。
泣き腫らした目が痛々しい。
梨咲は何も言わずにルイスのその手に頬を寄せて摺りついた。
「何? 寂しいの?」
ルイスは冷たく梨咲に聞く。
「ルイスが怒ってるから… 心が痛いの…」
梨咲の目から涙が溢れ落ちる。
ドクン…
ルイスの心が大きく跳ねた。
「ルイスがあんまり怒るから… 寂しい… 」
「 …その涙は…俺が恋しいの?」
梨咲はルイスを見上げるとコクンと頷いた。
ルイスは口角が上がる。
今まで、梨咲さんの涙のワケは凛への恋しさからだった。その寂しさを埋めてあげたいと、確かに思って慰めてきた。でもその度に、梨咲さんの心にはいつも凛が住んでいるんだ…と思い知らされてきた。
所詮、凛の穴埋めなのかな…と、虚しさを感じた時もある。
今、初めて…
梨咲さんが、俺を思って泣いているんだと思うと…
ごめん。すっごく嬉しい…!!!
ルイスは梨咲を優しく抱きしめると、梨咲はルイスの胸に摺りついた。




