味方 ?
梨咲は怪訝な顔をする。
完全にルイスを疑ってかかる。
ルイスはフッと笑った。
「全然信用してない…(笑)」
「当たり前だろ…!父からも何も聞いてないし…。
急に出てきて… 」
梨咲は顔を真っ赤にして俯く。
「…キス したり とか… ///
何、考えてるんだ…!!! 」
「でも、安心したでしょ?」
ルイスが梨咲の顔を覗きこんでにっこり微笑む。
「…それが信用ならないんだ!大体お前の笑顔は胡散臭い!!私を安心させて油断させるつもりなんだろう?何が目的だ?」
梨咲が喚いた。
「な〜んだ!やっぱり安心したんじゃない♪良かった〜♡」
ルイスの上機嫌に梨咲は疑問符を浮かべる。
「…例え記憶に俺が残って居なくても…梨咲さんの体はちゃんと俺を覚えてる…。」
そっと唇を触られて梨咲は顔を真っ赤にする。
「?!/// 何、言ってんの… 」
ルイスが近づいて来て、優しく口づけする。
包み込む様に抱きしめられて、髪を撫でられたら…
あ…れ?
安心し切って… 心地良くて…
愛されてる って…勘違いしそうになる…
「…俺の愛、ちゃんと伝わった?」
梨咲はルイスを見る。
優しい瞳… きれいな青い色…
愛? 嘘だよ… だって私… 誰にも愛されない…
梨咲の瞳が揺らぐ
「ふふっ… まだダメ?」
ルイスがもう1回優しく口づけする。
「いつもこうやって…俺を求めてたでしょ?」
梨咲を胸に抱きしめ直すと、後ろから襲ってきた3人の刺客をルイスは地魔法で拘束する。
「今ラブラブタイムなんだから…気、遣って下さいよ…。」
ルイスが肩越しに軽く睨むと、3人はその場に倒れた。
「え…っ!」
梨咲は驚いた。
こんな丸腰みたいな体制だったのに、3人を同時に拘束…?
ルイスの胸に抱かれながら見ていた梨咲は思わず声をあげた。
「あ…貴方、凄いのね!」
梨咲の言葉にルイスは微笑んだ。
「そう言えば梨咲さんに聞きたかったんですけど…」
「?」
「梨咲さんは…凛が好きですか?」
「え…?凛?」
全く予期せぬルイスの質問に梨咲は戸惑った。
「…そりゃ、まぁ…」
「男性として?」
ルイスは聞いてみたかった。
自分の記憶をなくした梨咲は、やっぱり凛が好きなのだろうか?
梨咲の心はいつも凛が占めている…。
「いや、ソレは無いな…。嫌だよ、あんな口うるさい人…。ずーっと注意されるなんて…」
梨咲の言葉を聞いてルイスは安心する。
「良かった! でも… どうして傷を治さないんですか?」
梨咲の制服の上からルイスは凛が嫉妬して付けた古傷をそっと触る。
「…別に。消すタイミングがなかっただけで…」
そう言ってから梨咲はハッとして、勢いよくルイスから離れた。
「え? え?/// 何で知ってるの…!このキズ…!」
梨咲は再び顔を真っ赤にして狼狽える。
右の鎖骨の下のデコルテラインに残るキズ…
こんな…胸に近い場所なのに… ?! ///
梨咲は思わずキズの付近を押さえた。
「梨咲さんの体の事なら隅々まで把握してます♡」
ルイスは平然と嘘を言った。
ただただ梨咲の反応を楽しむ為に。
「…っ! /// 」
梨咲は顔を真っ赤にして、自分の体を抱きしめながら後退った。
「ね?身も心も分かち合った恋人同士。今は心が覚えていなくても、体が、わかるでしょう?」
ルイスが頬を赤くしながらニヤニヤと伝えてくる。
「〜…っ /// !!! 」
「 ♪ 」
暫くして梨咲はルイスに質問する。
「…私は…何でルイスの事を覚えていないんだ?」
「ディラン先輩と賭けをしている様ですよ?悲しい哉…俺の事だけ消されてます。」
ルイスはわざと涙を拭う様な仕草を見せる。
「…そうか。賭け…か。」
梨咲は考える。
ルイスの記憶だけを消す、という事はディランにとってルイスが邪魔だった事に他ならない。
ルイスは…信用していいのかもしれない。
それに賭け事であるなら、その記憶はどこかに保管されている筈…。
いや、ディランの事だ。破壊出来ずにどこかに破棄したに違いない。
私は破壊を恐れてきっと防御魔法を施している筈。
なら…手元に戻す方法も…アレをすれば戻るな。
「…にわかには信じ難いが…、ルイスは私にとって強力な味方らしいな。」
戸惑いを見せつつ、梨咲はルイスを見た。
ルイスは驚いた顔をしてから頷いた。