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婚約

ここは魔法が存在する世界。

この世界は学力と魔法力の優劣によって出世が左右されている。

よって学力、魔法力の優秀者がエリートとされている。

名門レスカーデンは優秀な生徒を輩出することで有名な、いわゆるエリート学校。

あがた梨咲りさはこのレスカーデンにおいて成績優秀の名を欲しいままに手にしている、エリートの中のエリートであった。 小学校の頃より数々の最年少記録を樹立、学年トップを譲った事がない。


梨咲は母国の利益の為に異国の地であるここ(レスカーデン)へ訳もわからずに連れて来られ、中央政府の管理下で暮らすという不自由を強いられ育ってきた。

相互の国の交友関係を保つため、人質として高校を卒業するまで幽閉される。


父の寄越した使い魔の白猫、りんから手厳しく指導を受け、魔力を磨く特訓に明け暮れた。

お陰で強大な魔力を身につけ、他を圧倒する事で存在を示してきた。

寂しい気持ちも甘えと見なされ、強く強く生きる事を教えこまれる。


だが、突然現れた婚約者のルイスは梨咲の本来の心を見抜いていく。

最初は政略結婚だと思いながら近づき、好戦的な梨咲の美しさに惹かれ、強さの中にある優しさと、本来の弱さに気がついて、いつしか梨咲の不自由を取り除いてあげたいと願い、共にいることを誓う様になる。


梨咲はそんなルイスに戸惑いながらも、本当の自分を受入れてくれるルイスに徐々に心を許していく。


使い魔の凛はルイスに嫉妬し、ルイスの暗殺を試みるが、梨咲が阻み失敗に終わった。


凛は呪いにより長きに渡り、猫の姿に変えられ、魔力を奪われていたが、ルイスの妹マリーによってその呪いは解かれた。

人の姿に戻った凛はレスカーデンには居られなくなり、梨咲と決別する事になる。


梨咲は凛がいない寂しさを抱えるが、ルイスがその悲しみを癒やしていく。


1つ学年が年下のルイスはとび級試験に合格し、梨咲と共に高校へ進学する事となった。

梨咲は中等部の中庭で婚約者であるルイスに高校に進学する上での不安を打ち明けていた。


「2学年上に、この国の中央政府のメンバーの子息がいる。名前はディラン・アンドレア・カルサス。

ディラン先輩はしつこく私に求婚を迫ってくるけど、あの人は私の能力が欲しいだけなの。私を手に入れる事は社会的地位を優位にするものだから、他からの羨望が欲しいのよ。父も何度も断っていたけど、父が許可を出さないから容赦なく私に接近してくる。」

「え?ぶちのめしていいですか?」

梨咲の話を聞いたルイスは苛立っていた。

「いやいや、ダメだから!」

立ち上がったルイスを梨咲は押さえる。

「カルサスと言えば中央政府の中でもかなりの権力者ですね。」

「そうなの。下手な手出しは出来ない…。それに…」

梨咲はぎゅっとスカートを握りしめる。

「私の幽閉を解こうと真実に近づいたレイドリュー先輩を、傷つけた…!」

梨咲は手が震えた。その時の事を思い出すと、梨咲は今でも震えが止まらない。

ルイスがぎゅっと梨咲を抱きしめて背中を擦る。

「やっぱり、1人にしなくて良かった…。」

ルイスの言葉に梨咲はルイスにしがみつく。

「ごめん。巻き込んで…」

声が震えている。


「もぉ、梨咲さん♡俺達は一心同体じゃないですか♪身も心も…分かち合ってるでしょ…?」

そう言いながらルイスは指を絡めて腰を引き寄せ、キスをしてくる。

梨咲は絡められてない方の手でルイスの顔を叩いた。

「そんなワケないでしょ?! ///」

梨咲が顔を真っ赤にして反論する。

「もぉ、ジョーダンなのに♡ ウブだなぁ♡

それとも想像しちゃった?本当は…」

そこまで言ってルイスはハッとした。


梨咲が怒りに任せて炎の魔法を放つ。

「こんな至近距離で?!」

ルイスは慌てて防御魔法を放ち、梨咲の攻撃を躱す。

「もぉ〜!真剣に話したのに!ルイスなんか燃えてしまえ!!」梨咲は怒って立ち上がる。

ルイスは梨咲の後を慌てて追いかけた。

「梨咲さん、ごめん〜 機嫌直して〜」


梨咲が急にピタッと止まった。

「出る時は… ルイスと一緒がいい…」

梨咲は願いを込める。

ルイスと無事にここ(レスカーデン)を出たい。

梨咲は振り返るとぎゅっとルイスのシャツを掴む。

「他の人は嫌なの…。私を…離さないでくれる?」

不安に満ちた顔で自分より少し背の高いルイスを見上げる。


「あれ?まだ、愛情不足でした?」

ルイスが近づいて梨咲の唇に指で触れるとそっとキスをした。

真剣な青い瞳に梨咲はドキッとした。


「…いつ渡そうかずっと悩んでいたんですが…」

梨咲の左手を取ってルイスが小箱を渡す。

「受け取って貰えますか?」


「え…っ///コレって…」まさか…?

ルイスが微笑む。

小箱のリボンを解き開けると指輪が出てきた。


梨咲は手が震える。

え…っ 本当に? フリーズする。


固まっている梨咲に苦笑しながらルイスは指輪を箱から出すと、梨咲の左の薬指に嵌めた。

「出る時は一緒です。その先も…ずっと、一緒です。」


梨咲は左の薬指に嵌まった指輪を見る。

わー ///

暫く 長いこと指輪を見つめる。


「梨咲さん!」

ルイスに呼ばれてハッとする。

「返事して? 俺のお嫁さんに、なってくれるでしょ?」


はわわわわわ ///

梨咲は慌てた。 

なんか! ドラマっぽい!!!

「わ…私なんかでいいのかな?///」俯く。


夢見た事すらなかった。

誰かに愛されて、まさかこんな愛の告白と共に指輪を受け取る日が来るなんて…。


「もう! いい加減、俺の愛を素直に受け取ってよ!」

梨咲が1番 愛 を欲しているのを知っているから、ルイスは「俺の愛を素直に受け取ってよ」なんて言い方をする。


梨咲は素直になって、左手を右手で抱えて、胸の前で大事に包み込む。

「はい。 嬉しい…! 」


梨咲のOKを貰い、ルイスも心の底から安心する。

「良かった〜!」

その場に力無く座り込んだ。


梨咲はルイスの肩に手を置き、そっとキスをして応える。

「キスマークより嬉しいよ。」

梨咲が笑う。


「たまにはつけたい…」

ルイスが言うと梨咲はふふっと笑った。

「だ〜め! キスマークはろくな事にならない!」


過去に嫉妬で傷つけられた付近を押さえて、梨咲は凛を思い出す。

傷は 深くて 跡になっている。


「ここを出て、結婚したら凛に会わせてあげます。」

ふと寂しそうな顔をした梨咲にルイスが言った。


「その前はダメなの?」

「浮気されたら困ります!」

「信用ないな!(笑) …そんなに自信ないの?」

「相手は強烈なライバルですから!」


早く高校を卒業して、凛に会いたい。


恋しさが募った梨咲の顔を見て、ルイスは苦笑いする。


「ほら、やっぱり強烈なライバルだ…。

結婚するまで絶対に会わせてあげません!

その代わり、存分に甘えて?」


ルイスが両手を広げてくる。


ルイスの胸に抱きついて、梨咲は安心を取り戻した。


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