30話
国民の負担が江戸時代と同じなんてトレンド入りしてました。
どこの政党が良いとかそういう話じゃないけどここまでの状況作っといて自分達は悠々自適に年金生活できる人たちが羨ましいですね笑。
やっぱ20代で働いて30代で日本脱出ですね
凄まじい勢いで進む斎藤利三軍は桑名親光の軍勢を抜き、
増援に来た久武親信も跳ね返し本山親茂軍も蹴散らした。
「我こそは明智日向守が筆頭家老、斎藤内蔵助利三!命の惜しくない者からかかって参れッ!!」
そう言って薙刀を振り回す利三に長宗我部兵は手も足も出ない。
毛利、島津、龍造寺、大友と共に西国五大大名と恐れられた長宗我部兵が誰一人として。
「殿、本山勢も抜かれました!すぐに後詰を要請しましょう!」
「殿!」
三好親長と福留儀重が叫ぶが信親は彼らに耳を貸さない。
ただ、黙って空を眺めていた。
その頃、北では伊勢貞興率いる軍勢が高山右近、中川清秀、池田恒興に殲滅され天王山は羽柴長秀らによって占拠された。
もはや戦場の勝利は羽柴勢と決まった中、桂川沿いの戦場だけは明智勢有利である。
そして利三が遂に信親勢に突っ込んだ。
大混乱の信親勢、必死に彼らを引き留めようとする侍大将。
「殿、お逃げ下さい!」
「早う!」
「いや、雨が止んできた!鉄砲隊は火縄を濡らさぬように準備せよ。必ず今から晴れるよ!」
「何を馬鹿なことを!晴れるわけが……ってあっ!!」
必死に信親を引き剥がそうとする儀重の両眼には鬼の形相で突っ込んでくる一団……斎藤利三達だ。
「見つけたぞ、土佐守!そなたに武士の誇りとは何たるかを教えてくれるッ!!」
「来たか伯父上!上様を討った男が武士の誇りとは笑止千万!」
「黙れぃッ!!お主の父と我が主は入魂の仲であった!それを掻き乱したそなたこそ此度の変の元凶!お主を討ち我が主への手土産とする」
「はっはっはっ!掻き乱したとは……!全て我が手の内とは知らずにのう……」
「なっ!?」
信親は辺りに自分の見知った側近と旗本しか居ないことを確認する。
「教えてやろう、上様では天下は纏まらぬ。天下を纏めるに相応しいお方は羽柴筑前殿!その筑前殿が天下を取るのにはどうすべきか!そう、明智日向守を陥れて暴発させれば良いのよ!彼奴以外に上様を討てる者は居らんからのう!」
「おっ、おのれぇぇ!小童が言わせておけばっっ!!」
20にもならない小僧に利用された事、主を愚弄された事、そしてこの小僧の策に気づかなかったこと。
それらの怒りが合わさり利三の体はブルブルと震え顔は炎より赤くなっている。
「殺すッッ!貴様だけは許さぬっっ!」
「ふん!我は天に認められた存在、鉄砲隊構え!」
信親の命令に困惑しつつ鉄砲隊が銃を構える。
するとあろう事かそれまで曇っていた空が瞬く間に明るくなり日差しが信親を照らす。
「なっっっ!」
一気に斎藤勢の足がすくむ。
同様に長宗我部軍にも動揺が走る。
「何を竦んでおる!鉄砲隊、撃てぃっっ!」
「くっ、すすめぇ!」
火縄に火をつける鉄砲隊よりも先に利三が突っ込む。
ただ信親の首を狙って……。
そして
ドォンッッ!
鈍い音が戦場に響いた。