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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
天下人の章
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27話

「四国の事とは毛利との和睦に関して河野領をどうするかですな?」


「左様。毛利には備中、美作、伯耆、備後、出雲、伊予の割譲と清水宗治の切腹を求めておったがちと情勢が悪くなってきた。貴殿らとしてはどの辺が落とし分じゃ?」


要は事態によっては伊予を諦めろということだ。

しかしここで伊予を勝ち取っておかなければ信親としても四国征伐の可能性を捨てきれない。

必ずここで長宗我部家は伊予を勝ち取らねばならなかった。


「毛利の伊予への不介入。河野通直が隠居し当家の者を河野家の養子に入れる事」


「河野の存続は認めて良いのだな?」


「ええ。但し当家から河野家に家老を入れ、それを筆頭家老とすること。その他家臣も何人か入れます。断れば南予に集まる長宗我部軍一万三千が河野領に攻め込みます」


既に元親率いる軍勢は黒瀬城に入っている。

河野家が抵抗したところで勝てる見込みはない。


「よし……それが許せる最低のところだな。いちばん良いのは?」


「いえ、当家は外交方針として敵対した大名家の影響力のある家臣を駆逐した後に一門も養子に入れるというのは常套手段です」


「それなら向こうも妥協……するかな。とにかく官兵衛に伝えておこう」


「あ、あと能島村上家の所領には当家は不可侵という事で」


「よし、村上家は毛利家のものとしよう」


「お願い申し上げる。我らは直ぐに動けるように出立の準備を致します」


「うむ、任せたぞ」


早速信親は出陣の準備を始めるために家老達を集め毛利軍に悟られぬように撤収の準備を初めさせた。

とはいえ本能寺の変が起きることは分かっていたので兵は軽装かつ盾や大筒などは置いてきたので行動は迅速だった。


既に秀吉軍も1部の部将は次々と撤収を始めていた。

そして翌日、毛利家と織田家の講和が成り四国方面から毛利軍は能島村上家の所領を除いてその所有権の放棄、そして軍を撤退させ河野家に対し長宗我部家の傘下に入る事が合意された。


清水宗治は切腹しそれを見届けた秀吉軍は信長を出迎えるために用意された宿所で休息しつつ段階的に京へむけて撤退を開始。

翌日に信長横死の一報を知った毛利家だったが迎撃体制をとっていたために直ぐに追撃体制には移れず小早川隆景らの反発を受けて安芸へ撤収した。


そして秀吉軍は6月11日は尼崎へと到着する。

本能寺の変からわずか1週間足らずでの出来事でありこれに池田恒興、中川清秀、高山右近ら摂津諸侯も合流した。


行軍が一段落ついたので信親は本山親茂、久武親信、桑名親光を呼び出した。


「さて、河野は毛利が撤退したことにより当家に従うことに合意したそうだ。問題は誰を跡目に入れるかだが……」


「まあ順当に考えると千熊丸(後の盛親)様ですが孫次郎(親忠)様が納得されるかどうか……」


「内蔵助の申す通り。五郎次郎様が讃岐、千熊丸様が伊予を任されたのに対して御自身は西土と明らかに規模が小そうございます。どうしても格としては……」


久武と桑名も内心不安に思っているようだ。


「まあ阿波の守りを奴に任せるべきであろうが……阿波には既に我が義弟の三好親長を入れるのが内定しておる。この戦の後に羽柴の人質に差し出すか……」


3人が引っ込み思案な中、親茂が口を開く。


「恐れながら言上仕るが殿は少々孫次郎殿を危険視し過ぎでは?そもそも香川、河野両家とてそれぞれ西讃と中予のみが所領。他の一門の吉良、香宗我部もほぼ同等の所領を持っておりますし孫次郎殿も特に不満に思われることは無いかと」


「一門というのは最も信用でき最も信用出来ぬ存在なのだ。やはり羽柴殿の人質にして頂こう」


親忠本人は普通に出来る弟なのだが史実を知る人間としてはやはり警戒しておきたいのが信親の本心だった。


「殿が申されるなら私は何も言いませぬ」


親茂が同意すると他の2人も同意した。

早速、信親は秀吉の元へと向かった。

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