23話
最近観光客多くてマジで勘弁して欲しいですね
「三好笑岩にござる。こうしてお会いするのは初めてですな」
康長は現在は出家していて笑岩と名乗っている。
既に75歳を超えておりヨレヨレだ。
「よう来られた、山城入道殿。貴殿には伝えておかねばならぬ事があるのでな」
「息子と三好家の事にございますな。三好家の事は長宗我部様にお任せ致します」
「ふむ、そう申してくれると有難い。ではそなたの孫の小太郎に親の1字を与えて三好親長として勝瑞城を与えよう。これで良いかね?」
「寛大な処置、痛み入ります。ただ私の所領の河内の三好家は羽柴様一族の治兵衛殿が我が養子として継ぐことになっております。よろしいですな?」
「構わぬ。四国4カ国以外の旧三好領に関しては貴殿のものじゃ」
こうして三好家は河内三好家と阿波三好家に別れ織田家と長宗我部家の支配下に置かれることになった。
その頃、明智光秀は丹波から出陣する前に息子の十五郎と茶を飲んでいた。
「父上、このところ各地の戦の記録を調べておりました。それでそこからその国の石高を逆算してみました。中国攻めのお役に立てばと」
「ほう、見せてみよ」
自慢げに懐から紙を取り出す十五郎。
しかしそれを見て光秀は驚愕する」
「いっ、出雲と石見は29万石だと……。丹波1国と変わらぬでは無いか」
「なぜ毛利が尼子に勝てたか分かりますな。安芸と備後を合わせれば37万石になります」
「播磨も一国で35万石か……。これは間違いは無いのか?」
「ええ、同じ基準値で計算しました。誤差はあれど見事なものだと細川殿も申されておりました」
「なるほどのう……暫し1人にしてくれ」
十五郎が立ち去った後、光秀は頭を抱えてしまった。
元与力の中川清秀は37万石、秀吉は弟の秀長や半家臣の宮部継潤も合わせれば40万石を超える。柴田勝家は50万石、滝川一益は40万石。
しかし自分は29万石。
5万石の減封だ。
「上様はこれを分かっていて私を左遷したのではないか……」
自然とそんな言葉が口に出てしまう。
思えば柴田勝家にも滝川一益にもそれなりに経験のある嫡子がいるし秀吉の養子は信長四男の秀勝。
しかし十五郎はまだ15歳。
信長の娘で彼と合う年齢の女子はおらず佐久間信盛や林秀貞のようにはならずとも中川清秀や宇喜多のように新しく従属した使える家臣にも抜かれていくのかもしれない。
「殿、全軍出立の準備完了致しました」
「ああ、わかった。すぐに行く」
斎藤利三に呼ばれて光秀は動揺を隠せないまま外に出るのだった。