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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
天下人の章
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13話

大幅な軍備強化に成功した長宗我部軍は破竹の勢いで四国平定を進めた。

三好康長の子の三好康俊、武田信玄の異母弟の武田信顕、讃岐西部の実力者たる香川信景、伊予東部の棟梁の金子元宅ら多くのものが長宗我部家に降った。


更に阿波にて暴政を働いていた三好長治を阿波守護の細川真之を唆し殺害し三好家の大幅な弱体化にも成功する(最もこれはすぐに三好義堅に立て直されたが)。


1579年には信親も初陣を果たし西園寺討伐に動いた。

総勢一万二千にも及ぶ大軍で宇和郡に兵を進めた信親は久武親直を使い西園寺氏の重臣達を次々と調略。

土居清良に波川清宗が討ち取られるなど苦戦したものの1年のうちに西園寺公広を降し南予を平定した。


史実では織田家の後援を受けて長宗我部に抵抗した西園寺公広であったがこの世界では元親・光秀ラインと信親・秀吉ラインで強固な江土同盟が結ばれていた事もあり降伏した。


後でわかった話だが西園寺公広は佐久間信盛に使者をしきりに送り長宗我部を何とかするように頼んでいたが信親が秀吉に西園寺氏もあくまで伊予守護で毛利家の縁戚関係にある河野家の影響下にあると報告したせいで努力は泡と化した。


さて、信親も武士として1人前になったということで1580年の春に信長の娘を娶る事や四国の近況報告も兼ねて信親は福留儀重と本山親茂と共に再度上洛した。


「やあやあ久しく。以前よりも逞しくなられたな」


信親ら一行を出迎えたのは元親の義兄の斎藤利三ではなく堀秀政であった。


「む、貴殿は堀久太郎殿か。斎藤の伯父上ではないのか」


「ほう、上様の直臣の私では不満かね。筑前殿への取次も此度の貴殿らの饗応も此度は私が務めるよ」


「別に構わんがお主、随分と態度がでかくなったな」


書状のやり取りを何度もしていたとはいえ謎に兄貴ズラしてくる秀政に不快感を示す信親。

それを見て秀政はクスクスと笑う。


「貴殿もずいぶんと貫禄が出てきた。戦に出る前と出る後ではこうも人は変わるものよな」


「そうかもしれぬ、しかし誠におかしな話だ。俺の出迎えよりも貴殿は他にやることがあろうに」


信親が秀政を睨みつける。

急に出迎えが斎藤利三から堀秀政に変わったのには何か裏があると信親は確信していた。


「……流石は上様に見込まれた男よ。実を言うとそなたの妻になる予定であった上様の娘が2日前に急死された。元々活発な姫君だったのが木登りをしている最中に足を滑らせてな」


「なっ!」


信親含め一同が驚く。

顔にアザができたとかで婚姻が解消された話はたまに聞くが結婚前夜に新婦が死ぬなど前代未聞だ。


「それで他のご息女を……と言う話になったのだが既にご息女は全員嫁ぎ先が決まっておる。それで上様の一門から養女を取り改めてその娘を貴殿に嫁がせようということになったのだが……」


「決定が直前で俺や父上への使者が間に合わなかったという事か」


「左様、此度の不手際は全て織田家の責任じゃ。上様に成り代わり謝罪致す。この通りじゃ」


そう言って秀政は頭を下げる。


「うーむ、されど俺は未だにそのご息女の顔を拝んでおらぬ。どちらにしろ上様のご養女と祝言を挙げられるなら俺はそれで構わぬが……」


どちらにしろ信長の血縁関係なら顔はそこまで変わらないだろう。気に入らなかったら側室を取れば良いだけだし信親はその辺りは気にしなかった。

しかし親茂はそうではないようで……。


「これは織田様ともあろう御方が礼儀も知らぬとは!我らは本来であれば嫁が土佐に参るところを上洛したのでありますぞ!」


「面目次第もない。姫には既に話は通してあるがしばし時を頂きたい。それまでは安土にてごゆるりと過ごされよ。代金は全て織田家が工面いたす」


「左様な事を申しておるのではない!嫁入り前の娘に木登りをさせるなど以ての外じゃ!」


苛立つ親茂を見て信親もさすがにマズいと察したのか親茂を制止する。


「まあ待て。その姫君はどなたの娘かな」


「ああ、浅井長政と上様の妹君のお市の方様の次女のお初様じゃ。御歳で11になられる」


それを聞いた瞬間、信親の顔が明るくなる。


「ほお!お市の方様と言えば日本一の美女として名高い御方。そのご息女となればきっとお美しい事であろう。俺はそれで一向に構わんよ」


「いやしかし!」


まだ不満げな親茂に信親は耳打ちする。


「浅井の娘には柴田勝家も羽柴秀吉も執着しておると聞く。仮にその姉妹と連中が婚姻関係を結べば当家は織田政権で益々力をつけられるぞ」


「しっ、しかし……」


「まあいずれ分かるさ。親父殿も許すと思うが隼人はどうだ?」


「若君の仰せのままに」


儀重も言うので親茂も引き下がった。


「纏まったようだな。宿は既に手配してある。それまでゆるりと過ごされよ」


そう言って秀政は従者に指示を出す。

そんな秀政に信親は小声でこう聞いた。


「ところで亡くなられた姫君はおいつくじゃ。どのような御方?」


「6つにござるが……ここだけの話よく食べてよく話される姫でまあその……多分そなたが女装した方が可愛いよ」


「はっ、ははっ……」


信親は内心胸を撫で下ろすのだった。


秀政「茶々様、嫁に行ってください!」

茶々「嫌じゃ!わらわは土佐のような田舎には行きとうない!」

勝家「そうじゃ!茶々様は行かせぬぞ!(お市様に似ておるからのう)」

秀吉「親父殿の申す通り!(お市様に似ておるからのう)」

初「仕方ないですね(長宗我部の若君は美男子らしいし……)」



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[一言] 茶々様、おめでとーございます!
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