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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
夏草の章
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6話

合戦描写無理

「下田と言えば伊豆の踊子、伊豆の踊子と言えば儚い恋物語!いやー風情があるなぁ」


と今から攻める街に風情を見出す信親。


「伊豆の踊子?信兄には先日ご嫡男が生まれたばかりでしょう」


「む、千熊丸(盛親)。今度読んで……ってこの時代は無いか。加藤殿は動いたか?」


「はっ。まもなく下田に上陸されます」


同じく初陣の津野親忠が報告する。


「史実より早く落としてやらぁ」


と、信親は小声で言うのだった。


さて、下田に上陸した加藤嘉明率いる千五百の軍勢は街を焼き払い敵方を挑発した。

燃える街を見てすっかり観光する気でいた信親は大慌てである。


「なに!何故街が燃えておる!俺はあの街に行く気であったのだぞ!」


「籠城戦では街を燃やすのは当たり前でしょう。血迷ったのですか、兄上?」


「分かっておる、孫次郎!しかしあの街を俺は散策する気であったのだ!これではしょうが飯も鯛も食えぬでは無いか!?」


「まあそれは戦が終わってからでも良いではありませぬか。我らも早う行きとうございます!」


「千熊丸は気が早いのう。加藤嘉明の後には脇坂安治が控えておる。我らが攻めたるはまだまだ先よ」


「しかし我が軍勢は大将にございます!なれば下の者に手柄を奪われるのは!」


「控えよ千熊丸!!我らは所領が多いだけでありあくまで加藤殿、脇坂殿は同格である!それを下の者とは無礼の極みであるぞ!」


と叱責する親忠。

周りとの和を重んずる親忠と血気盛んな盛親はこの辺りが違うらしい。

いずれは島津四兄弟のようなそれぞれの個性を活かした振る舞いが出来るようになれば……とも信親は考えている。


「……俺が浅はかにございました。されど初陣でただ御味方のご活躍をただ指を加えて眺めているだけとは……」


確かにそれは不憫である。

信親が初陣した頃は戦戦で手柄も上げ放題であったが豊臣政権にて私戦が禁止された今、簡単に戦にて手柄を挙げることは出来ないのだ。


「うーむ、確かに千熊丸の言い分も分かる。孫次郎、千熊丸、脇坂殿の軍勢に加わり手柄を上げてまいれ」


「はっ、お任せくださいませ!」


若干困惑する親忠と大喜びの盛親。

やはり真逆である。


「隼人、政重。そなたらが付いて補佐してやれ」


「はっ」


指名された2人の家臣が頭を下げる。

こうして脇坂安治の千人に親忠、盛親の千人が加わり第二陣の二千人は加藤勢の攻める方向とは逆の方向から下田城に攻めかかった。

さらに水上からは九鬼水軍と徳川水軍、そして元親自慢の大黒丸による砲撃が砦や櫓を粉砕していった。


しかし城兵とて中々の精錬にして中々に攻め手を押し返し1週間近くが経過した。

そんなある日、秀吉からの使者として増田長盛が訪れた。


「これは増田殿、ご無沙汰しております」


元親が一礼すると後ろに控える信親、嘉明らも頭を下げる。


「はっ、殿下よりのお達しにございます。山中城が落城し早々に小田原包囲網を形成致したいと殿下はお考えです。それ故、一部の軍勢を残し小田原に向かわれたし」


「承知仕りました。お役目ご苦労にございました」


秀吉からの書状を増田が閉じると再度一同は平伏する。

増田が戻った後、元親は一同を集めた。


「先程、増田殿からご指示があったように殿下は早々に我らが小田原へ向かう事をお望みである。それ故、拙者が兵千五百で残り他の方々は小田原へ向かわれたし」


「千五百……?長宗我部殿は三千の軍勢では?」


不思議そうに嘉明が問う。


「うむ、残る千五百を宮内少輔ら下田上陸軍に預け向かわせようと思う」


「承知致しました」


信親ら四兄弟が頭を下げる。


「宮内少輔は総大将として方々をまとめ小田原の海上を封鎖せよ。良いな!」


「ははっ!」


こうして信親率いる水軍勢一万は小田原へと向かったのであった。


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