14話
「ワシが目指す国は戦を無くすのはもちろん、諸将がそれぞれの才覚を発揮し日ノ本を一つに纏めあげる国よ」
「しっ、しかしとなると国の長は……」
孝頼が聞く。
「決まっておろう。天子様よ。天子様の元に太政大臣、左大臣、右大臣、内大臣を置きさらにその下に八省の長を大名が務めその元にて各家の有力な将が集まるのじゃ」
「されどそのように簡単に……」
「分かっておる。それゆえこの藤堂や羽柴秀長、鳥羽にて戦っておる蒲生らが必要なのじゃ。そしていずれは国を一つにまとめ南蛮にも負けぬ国を作るのじゃ」
要は明治政府みたいな感じの中央集権国家を作りたいのだ。
とりあえず一通り説明すると信親は高虎を気絶させられ敗走する藤堂勢と交代で突っ込んできた丹羽長重勢に突っ込んだ。
父を失い怒り狂う丹羽軍は厄介だったがやはり長重はまだ若かった。
信親が事前に回しておいた大西頼包の伏兵により隊列が乱れ泣く泣く撤退した。
毛利勢の方は流石に不利と感じた蒲生氏郷が後退し、代わりにやってきた筒井定次の軍勢はあっという間に吹っ飛ばされた。(もう島左近は出奔してます)
「くっ!やはり数の差で劣る我らでは叶わぬか!」
今の東本願寺ら辺(ちなめに作者は宿泊学習で泊まった)に陣を構える秀長は次々と訪れる自軍の敗北を聞き狼狽した。
「なりませぬ。京を奪われると連中は必ず我らを朝敵と致しますぞ」
官兵衛はそう言うものの秀長とて歴戦の将。
伏兵も援軍も望めない中で無理に戦を続ければ壊滅する可能性もある。
「ならば京に火を放ちましょう。さすれば公家共も連中を戦に巻き込んだと……」
「ならば織田信雄が我らを朝敵にしてきおるわ!分からぬ事に口を出すでない!」
テキトーな進言をした加藤清正に官兵衛がキレる。
毛利家の裏切りですっかり面子を失った官兵衛はイラついていた。
「まあまあ落ち着け。とにかく敵も一気に仕掛けては来ぬであろう。守りを強めるのだ!」
秀長が命じると諸将がそれに応えたのだった。