10話
今年もありがとうございました。
来年からは大学生なのでどうなるか分かりませんが今後ともよろしくお願いします。
これが終われば原田直政辺りを主人公にした話でも書こうと思います。
完全に病んでしまった信親に対して元親はただ
「次からは気をつけよ」
と言っただけであった。
さて、戦術的に勝利した黒田官兵衛と丹羽長秀は機嫌よく酒を飲んでいた。
「はっはっはっ!流石は丹羽様の軍でござる。このまま宇喜多を讃岐に送り込み長宗我部を叩き潰しまする」
「いやいや、これはそなたの策のお陰よ。しかし毛利は大丈夫か?」
「はっ。毛利も伊予を与えると申せば喜んで参りましょう!」
「申し上げます!毛利軍が宇喜多領に侵攻!宇喜多様から援軍を求める使者が!」
「はっ?」
官兵衛の手から杯が滑り降ちる。
破片が床に飛び散り地図が酒に染る。
「毛利輝元、謀反にございます!!」
毛利家では吉川元春の押しに小早川隆景がついに折れた。
元親が香宗我部親泰を通して伊予の代わりに備中、美作、伯耆、因幡と秀吉に奪われた所領を全て与えるから味方して欲しいと穂井田元清に伝えておいたのが功を為した。
吉川元春は二万を率いて鬼神の勢いで備中に侵攻すると高松城を攻略。
伯耆にも一万の毛利勢が侵入していた。
「人とは思うように動かぬようじゃな。次は如何致す?」
長秀が杯の破片を拾いながら聞く。
「もはやワシの一存で決められる問題ではありませぬ。殿に一度使者を送ろうかと……」
「しかし長宗我部が攻撃の手を弛めることは無かろう。ここはワシが大坂を守る故そなたらは京へ兵を引け」
「しっ、しかし……!」
「もはや播磨や但馬は耐えられぬ。ならば京に防衛線を築くべき。ならばその時を稼ぐ必要があろう……」
「……よろしいのですか!」
「老いぼれに出来ることなどこれくらいよ。それより我が息子を頼むと羽柴殿に伝えてくれ」
「忝ない。直ぐに秀勝様や小六殿にもお伝えして参ります」
こうして羽柴勢は撤退を始めたのだった。
これ読み返すとなんで秀長撤退したんですかね