4話
さて、幕末明治編は始まるのかどうか!
首を失った獣の如く三好勢が崩れるのは早かった。
一気に士気の下がった三好の兵たちは鶴翼の餌食となり重臣たちも多数討ち取られた。
そのままの勢いで信親は勝瑞城、虎丸城を落とし阿波を制圧し親茂の二千と阿波の国衆を残し自身は六千を率いて讃岐にて親和と合流した。
「兄上、お待ちしておりました」
「出迎えご苦労。状況は?」
「なかなか複雑な城で攻めあぐねております。淡路の仙石にも不穏な動きが」
「うーむ、ここは多少妥協するしか無さそうじゃ」
信親は講和の使者を送り会談が近くの寺で行われた。
相手側は城主の十河存之である。
彼は存保の従兄で実は三好家の家督をワンチャン継げる立場である。
信親はそこを狙った。
「さて、わざわざの御足労かたじけない。我が方としてはこれ以上の戦は避けたいと思うておる」
信親は首桶を叩きながら言う。
もちろん中身は存保である。
「条件は……某の切腹でしょうか?」
「否、どうせ父上はそなたを助命しろと申される。ワシは中富川で三好勢の恐ろしさを思い知った。ここは長宗我部に味方してくれぬか?」
「ご冗談を……。それならば我々は最後まで……」
「暫く。貴殿は元々は三好家の家督を継ぐ立場だったのだろう?ならば三好家の家督を継いだ上で十河城を安堵しよう。それで長宗我部が本土に進出したら河内1国を任せる」
「ほ、本土とは!夢物語も大概にされよ!」
「そなたの伯父が出来たのだ。我々も出来るかもしれんぞ?」
「そっ、それは……」
「まあともかくこの首をお返しするゆえ考えられよ。また明日にでも結論を聞かせてくれ」
十河城周辺はだいたい三万石。
隣に10万石の香川家がいるので大した驚異にはならないだろうし三好家のネームバリューはなかなかのものだ。
存之としてもなかなか美味しい話だろう。
その信親飲み込み通りに翌日に十河存之は降伏し正式に長宗我部家の臣下となった。
信親はこれを認め三好存之と名乗らせ十河城を与え香川家の与力とした。
ここまでは順調だった。
しかし問題はここからだ。
そう、元親への謝罪である。