1話
ぽっくりとね
目が覚めると戦国時代に来ていた。
しかも海部にて元親の言うことを聞かずに十河存保を討つために進軍していた時である。
「若、叔父上からの使者が参られております」
久しぶりの親茂の声に安堵しつつも信親はそれどころではなかった。
確かここから一旦土佐に戻って中富川で三好と戦うことになるのだがやたらと苦戦した上で十河存保を討ち漏らしそこから……。
「これ天下取れんじゃね?」
それに信親は気づいてしまった。
とりあえず使者を適当にあしらうと信親は直ぐに香宗我部親泰率いる三千の到着を待った。
信親の手勢六千と併せれば三好勢のだいたい2倍。
そこに阿波の親長宗我部勢力も呼べば一万二、三千にはなるだろう。
そして信親の読み通り、小笠原、桑野、東条らが合わせて四千の兵を率いて海部に集合した。
「良いか!もはや父上を待つことは出来ぬ!既に明智様は羽柴秀吉に討たれ天下の情勢が変わりつつある中で我らは阿讃を平定し一気に天下をも奪って見せようぞ!」
信親が言うと一万二千の将兵達の咆哮が城内に響いた。
「いざ出陣ッッッ!」
幕末と江戸時代で腑抜けたとはいえ今の信親は1番イケイケだった頃。
信親の脳内には既に天下取りのプロットが出来上がっていた。
まずは十河を討ち淡路進出の基盤を固めいずれ起こる小牧・長久手の戦いの際には秀吉が出陣している隙を狙って三万を率いて淡路を瞬く間に制圧しそのまま雑賀、根来と連携して大坂を制圧する。
無論毛利家との関係も見直す必要がある。
ひとまずは河野領は妥協して秀吉を降した後に3カ国程与えてその代わりに伊予を勝ち取るつもりだ。
「何か良いことでもありましたか?」
ニヤニヤする信親に親茂が不思議そうに聞く。
「ふっ、俺が天下人となる第1歩だ。見ておれ親茂!」
さて、信親は天下を取ることが出来るのか?
そして無視られた元親は?
次回お楽しみに