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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
夏草の章
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20話

大名同士の婚姻は豊臣家に許可を得てのみ許されていた。

しかし徳川家康が伊達政宗、蜂須賀家政、福島正則の三名と豊臣家に無断で婚姻を行おうとしていた事が露見した。

これに前田利家が激怒し奉行衆と共に徹底的に追求する姿勢を見せた。

対する家康も対抗する姿勢を見せ両者の元には諸大名が兵を率いて集まった。


盛親は増田長盛と共に大坂の前田利家の屋敷に入ったが長宗我部本家はどちらに行くのか揉めていた。


「やはり前田大納言の元へ行くべきでござる!内府に非があるのは明らか!」


と香川親和が主張する。


「いや、どうも大納言の旗の元に入るのは気に触る。ここは中立にすべきです」


と本山親茂が反論する。


前田利家は元親と同い年だが秀吉の親友だったために出世した親の七光りならぬ友の七光りと信親が言いふらしているため長宗我部家での彼の心象はとてつもなく悪い。


「親父殿は内府が嫌いだが俺は大納言が嫌いだ。よって今回はどちらにも味方せず中立の姿勢を見せるべきだとワシは思うが?」


「いや、ワシは徳川様の元へ向かうべきだと!!」


と信親の判断に津野親忠が異を唱える。


「ワシも同意致す!ここで日和見を行なえば両者から悪印象を持たれるのは日の目を見るより明らか!なればかねてより交流があり経験も豊富な徳川様にお味方すべきでござる!」


と久武親信も続く。


「なんだとお主ら!奴は豊家に牙を向けるのは明白!今のうちに彼奴を潰しておかねば天下は乱れるのだぞ!」


と親和。


補足しておくと他の一般的な大名は家康は忠臣なので彼の人柄やら工作によって家康を信用して集まっているのだが長宗我部家は家康が豊臣家を裏切るのは既に見抜いている。


「豊家なんて潰れてしまえば良いではありませぬか!藤堂佐渡守様もそれを見抜いておられるのです!兄上とて香川を滅ぼしたのは内府ではなく殿下であると分かっておられるはずです!」


「なんたる事ッッッッ!本来であれば御家断絶皆殺しのはずのところを助けてくださったのは殿下であるぞ!」


「しかし五郎二郎殿、同じく殿下に逆らった島津は61万石、伊達は58万石。それに比べて我らは初めは10万石!!!このような屈辱を受けてなお豊家奉公を叫ばれるおつもりか!」


と久武が言い返す。

結局この後も長宗我部家はまとまらず親和ら豊臣派は前田利家の屋敷に入り親忠ら徳川派は徳川家康の屋敷に入った。


当の信親はと言うと盛親も前田利家の屋敷に行ってしまったので数合わせをしなければいけないと思い徳川屋敷に入った。


「おっ、長宗我部殿。弟君しか来られないのでてっきり前田側に走られたかと思いましたぞ」


と井伊直政が出迎える。


「まあ弟が来てしまったからな。しかし随分と物々しいな」


「戦が始まるのではと各々が武器や兵を入れてきております。ささ、こちらへ」


と案内され家康のいる部屋に通された。

中には福島正則、黒田長政、池田輝政ら武断派諸侯が勢揃いしていた。


「おお!土佐殿も来られたか!これで百人力でござる!」


と正則が言うと一同も賛同の声を上げる。


「お待ちしておりましたぞ、土佐殿。こちらへどうぞ」


と家康は伊達政宗の向かい側の席に信親を案内する。

官位でも石高でもこの中では信親は政宗に次いで2位なのでそりゃそうである。


信親が座ると家康は信親の前の杯に酒を流した。


「ああ、忝ない。しかし毛利殿や宇喜多殿ら他の年寄衆のお姿が見えませぬが?」


「奴らは治部の一味じゃ!わしが全て叩き斬ってくれる!」


と威勢よく正則が言う。


愛想笑いをしつつ西国の大大名が居ないことに不安を募らせる信親であった。

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