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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
夏草の章
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2話

何時投稿か迷う

島津義久は降伏し九州征伐は終了した。

信親の予想通りお家騒動などは起きずむしろ信親の勇気ある行動に秀吉は長宗我部家を気に入り元親は豊臣姓を与えられ、史実に比べ長宗我部家の待遇は良くなった。

翌年に行われた聚楽第行幸では元親は池田輝政と大友義統の間に置かれ秀吉と公家や大名との謁見の際なども列席するようになっていた。


対して信親は土佐国内の内政においては元親よりそのほぼ全権を委任され(本人としては畿内とのパイプを作りたいのだが)今は増田長盛と共に土佐の検地を行っていた。

これも史実においては秀吉が課した動員兵力をを逆算し尚且つ何故か石高ではなく貫高で記されたりといい加減だった。

(これにより土佐は10万石と全国有数の小国になってしまうのだが……)


「長宗我部殿は遠国で負担も大変でしょうから10万石でよろしいですな?」


と増田長盛が帳簿を見ながら言う。


「いやいや、それでは長宗我部の名に傷がつきます。きっちりと、石高を図り届出致します」


と、信親は隠し田に海産物に木材と金になるものは徹底的に調べ上げ24万石として提出した。

これには一部から不満も漏れたが長宗我部の名誉と若君のためならと皆最後は丸め込まれた。


そしてそれを畿内の元親に報告すると彼は驚愕した。


「おっ、お主!それでは次の戦から七千も出さなくてはならぬでは無いか!ただでさえ殿下に合わせて一領具足から足軽に切り替えようとしているのに!!」


「でも率いる兵は三千と四国征伐で誓書に書いたではありませぬか。今さら石高が変わったところで兵役が変わるとは……」


これについても信親は自信があった。

文禄の役の際に四国の大名は皆1万石につき四百人以上の動員を課せられたのに対して長宗我部家は三千で固定された為、大した負担もかからなかったのである。


そう口論していたら増田長盛がやって来た。

2人とも姿勢を正す。


「殿下に高直しついて報告致したところ、兵役についてはこれまでの通り三千のままで良いと。それから弥三郎殿に従五位下宮内少輔へ叙任したいと殿下はお考えです」


「なっ、なんと!恐悦至極に存じ奉ります!」


元親が頭を下げる。

それまで長宗我部家は宮内少輔を自称していたため、信親が正式に任官されるのは豊臣政権が信親を元親の後継者として正式に認めた事になる。


さて、これにて立場は完全に保証された信親が次に成すべきことは内政チートと呼ばれる物であった。

しかし信親は内政に関する知識が鼻くそ程も無く大坂との海運ルートを作るべく港を整備することを家臣に命じることくらいしか出来なかった。


「此度、殿下のご好意により宮内少輔へと任官する事と相成った。これも日々、皆が支えてくれるおかげじゃ」


大高坂に戻った信親は家臣に日々の感謝の言葉を述べた。


「おめでとうございまする」


信親付家老の本山親茂が頭を下げると他の者も続く。


「それにしても仙石は改易されたとか。若のご忠告を無視した事が災い致しましたなぁ」


一門衆で粛清を回避された比江山親興が仙石を皮肉るも一同が笑う。


「されど石高が増えた以上それ相応の軍備は整えねばなりませぬ。これらの事はこの福留にお任せあれ」


と、信親付家老の福留隼人。


「うむ。いずれは天下を揺るがす事態が起きよう。その時に3年前と同じようでは困るからのう」


それまでの長宗我部軍は素早く大軍を揃えて相手側が戦の用意がままならない内に殲滅する策を取ってきた。

それが通用しないとはっきりしたのが3年前の四国征伐であった。

長宗我部軍4万に対し羽柴軍12万、更に装備にて一世代も二世代も後れを取っていた長宗我部軍は殆ど抵抗出来ず降伏した。

これは長宗我部家にとって苦い過去でありその為にも軍備を整えてきたのであった。


そして1年が経ち軍備が整ってきた頃、長宗我部親子を始めとした各地の大名が大坂に呼び出された。

・増田長盛 豊臣政権五奉行、長宗我部家の取次係

・比江山親興 長宗我部家一門衆、史実では元親の命により自害

・本山親茂 信親の従兄かつ筆頭家老

・福留隼人 信親家老、長宗我部家一の豪傑

・池田輝政 美濃の大名

・大友義統 豊後の大名

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