115話
最近、バイトを変えたりサークルの用事でなかなか更新できません。
申し訳ありません。
宇喜多秀家の寝所の伏見城には珍しい人物が訪れていた。
「はっはっはっ。お前のおかげで裏切り者を見つけ出し長宗我部も黙らせた。大儀であるぞ、直江山城」
そう言って秀家からの杯を受けるのは上杉景勝の家老であり失脚していた直江兼続である。
「私を失脚させた長宗我部など許せるはずがありますまい。しかし織田参議の一族まで皆殺しとは驚きました」
「ふむ。余は拾様に代わり今後の禍根を残してはならぬ。それにしても長宗我部も織田も当主が代わってすっかり牙が抜けたようじゃ」
「土佐中納言(秀親)殿などは宇喜多様の娘婿でございますからのう。それで某の赦免の事ですが……」
「うむ、万事余に任せておけ。必ずやお主を復帰させてみせる」
「そのお言葉が聞けて安堵致しました。それでは夜も遅いのでこれにて」
そう言って兼続が屋敷を出たあと、秀家は明石全登を呼び出す。
「ワシは長宗我部も嫌いだが上杉の方が嫌いじゃ。直江ももう用済みであるしのう」
「ならば内府同様に上杉を攻めますか?西国大名を動員し疲弊させ長宗我部と共に謀反を起こさせぬためにも」
「よし、それで良い。伊達政宗に命じて適当に上杉の謀反をでっち上げよう。はははは、来年までには景勝も直江もこの世には居ないであろうな」
秀家の笑い声が伏見に響いたのだった。
半年後、故元親の隠居先となっていた岡豊城に入り妻の初とペットのライヘンバッハと共に平穏な日々を過ごしていた信親の元に上杉景勝謀反の噂が報告された。
「ははは、懲りない男だな。次はどのような理由か?」
その報告のためにわざわざ大和からやってきた増田盛次に信親は聞く。
「上杉は未だに戦の支度を続けていると周辺大名から報告が。更に景勝は未だに直江山城を手元に置いておるようで……」
「なるほど、それは良うないな。お主の姉君はどう思っておられるのかね」
そう言って信親は隣に控える初の方を見る。
「何も聞いておりませぬ。このところ姉上は大野修理としか話さぬようで」
「修理か……。やはり生け捕りにして義姉上に返しておいて正解だったな」
茶々の乳弟にあたる大野治長は家康暗殺の嫌疑を受け追放されていたが徳川の乱で福島正則に従軍。
清洲城に待機していたので桶狭間殲滅戦の難を逃れ信親の手勢により保護された後に、大坂に復帰していた。
「修理殿は容姿端麗で聡明な方。我ら奉行衆にも随分と尽力頂いております」
土佐でそんな話が行われている頃、大野治長は奉行衆の長束正家を呼び出していた。
「茶々様は近頃の宇喜多秀家の専横にお怒りでござる。噂によれば上杉景勝を討ち長宗我部中納言殿を宿老から外すという噂も」
「噂は噂にござる。宇喜多様は誰よりも豊臣家のことをお考えにございます」
「誠にそうでござろうか?本当は御自身こそが 殿下の跡取りであると思われて居られ、そのために邪魔者を排除しているのでは?」
「否、そのような事はござらぬ。この正家は20年に渡り宇喜多様のことを見ておりますれば」
「ふん……有り体に申し上げるが備前に宇喜多秀高殿を入れられている時点で備前奪還のために織田参議を討伐したとしか思えんがな。そのこと、茶々様は大層お怒りであるぞ」
茶々と織田信重は従兄妹である。更に信重の養父の磯野員昌は茶々の父の浅井長政の重臣であり2人の繋がりは宇喜多秀家が思う以上に強かった。
更に治長は続ける。
「参議殿の件はまだ言い分は通る。されどこれ以上に秀頼君の名を語り権勢を振りかざすようならばこちらにも用意がある。左様に宇喜多殿に申されよ」
その日の夜、土佐と会津へ向けて大坂から使者が放たれた。




