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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
天下人の章
159/199

91話

山道の中腹前まで来ていた福島正則はその銃声が自分達のものでは無く、相手の銃声である事を理解するのに暫くの時間を要した。

そして彼がその銃声が敵の物であると理解した時には目の前にいた近習達が弾丸の嵐によりただの肉片と化した時であった。


「ふっ!はははははは!!!!そうか!ワシは太閤殿下の元へ行けるのか!!治部の一派は討ち取った!大名にもなれた!面白き人生であった!!」


2度目の弾丸の嵐の後、正則も目の前のそれまで人であったの物と同じく肉片となりその魂は秀吉の元へと旅立ったのだった。


ここから始まる西軍の一斉掃射により多くの将兵がその餌食となった。

特に丸根方面の軍勢は山道に入り込んでしまったこと、最強の大名と言っても過言では無い島津義弘と立花宗茂の攻撃を受けて無事生還できたものは殆ど居なかった。

中島方面は三成軍が途中で壊滅した事もあり、入口部分にいた池田輝政・田中吉政・山内一豊らの軍勢は無事であったがその他は殆ど壊滅した。


清洲城の黒田長政と藤堂高虎がその情報を初めに聞いたのはボロボロになった脇坂安治が帰還した時であった。


「なんと!斯様にあっさりと三万の軍勢が全滅しただと?」


「有り得ぬ……。本当なのか脇坂殿」


「誠じゃ!奴らは鬼じゃ!勝てるはずがないわ!」


「まずいことになったぞ甲州(長政)。もし福島を失ったとなれば清洲の連中が暴発しかねぬ」


「ワシも同じ考えだ。すぐに本多殿と井伊殿を呼ぼう」


その後まもなく撤退してきた池田輝政も合流し5人は清洲城の二の丸に集まった。


「義父上にこの報せが届くのはいつ頃だと思うか?」


「昨日、小田原に入ったとの使者が参ったので明日には届くかと。とにかく我らは殿が来られるまで耐えねばなりませぬ」


この場で徳川一門格であり官位も高い池田輝政の質問に本多忠勝が答える。


「されどそれまで絶えられるかは分からぬ。我らだけでも兵をまとめて熱田からは吉田まで撤退すべきだ」


「兵部!残るもの達を見捨てると申すか!」


井伊直政の発言に忠勝が驚きの声を上げる。


「そもそもこれは福島や加藤が暴発した為にござる。今のところ、徳川本体も池田殿も黒田殿も藤堂殿も西国勢と直接刃は交えておらぬ。奴らとてこの清須を捨ててすぐに吉田には攻め込んで来ぬだろう」


「我が吉田なら中間に刈谷城がある。時を稼ぐには十分だが……」


「ならば直ぐに志摩の九鬼殿にこちらまで来て頂くように要請致す。俺は九鬼殿と面識もある故に明日には船団を率いてこちらまで来て下さろう」


「ワシもそれに同意致す。治部少輔が討死し小西もそれなりに打撃を受けたとなれば向こうも休息を挟む必要があろう。吉田侍従殿もそれでよろしいですな?」


高虎と長政の意見を聞いて輝政も頷く。


「東海道の諸将には悪いが我らが生き残る為にも熱田より逃亡するとしよう。本多殿は直ぐに義父上に報告してくれ」


「ははっ」


こうして熱田から家康軍が来るので出迎えの準備をすると嘘をつき福島正則の遺臣や田中吉政・山内一豊らに清須を任せ5人は軍勢を率いて熱田の港へと撤退したのだった。

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