87話
堀秀政を主人公としたスピンオフを製作中です。
秀政と信長の出会いから関ヶ原あたりまでを描く予定です。
要はどうする家康に乗っかって自分なりにどう家を描くならどうするかを堀秀政視点でやるだけです。
私は桶狭間以前の戦国時代に大して興味が無いのでこれで完結ですね。
伏見城を陥落させた西軍に休む暇は無かった。
信親と秀家率いる本軍は直ぐに美濃方面へ進軍し8月15日には岐阜城に入城した。
また毛利輝元率いる別働隊は伊勢に侵入し東軍側の城の攻略を開始した。
その陣立は以下の通りである。
美濃方面 計九万九千
長宗我部信親 一万五千
香川親和 四千
津野親忠 四千
河野親通 四千
武田信定・依田康勝 二千
堀秀政 一万二千
島津義弘 五千
島津豊久 一千五百
立花宗茂 四千
秋月種長 一千
高橋元種 一千五百
宇喜多秀家 一万八千
石田三成 七千
小西行長 四千
増田盛次 三千五百
太田一吉 二千
福原長堯・垣見一直・熊谷直盛 一千五百
その他の小名 五千
伊勢方面 計三万
毛利輝元 一万
毛利秀元 五千五百
小早川秀包 四千
長束正家 三千
安国寺恵瓊 二千
中川秀成 二千
小野木重次 千五百
前田茂勝 千
その他小名 三千
更に美濃には織田秀信を初めとして五千近い軍勢が在国し守備隊を務めており北陸方面軍と合わせれば十五万に迫る大軍であった。
信親、秀家らが岐阜城に入った頃、清須にも福島正則・池田輝政・黒田長政・加藤清正ら五万の軍勢が到着した。
清洲城には秀吉が残した30万石の兵糧米があり、信親らが攻撃しようとそう簡単には落ちない堅城だった。
「息子の調略は?」
「無理ですな。向こうから親子の縁を切ると申してきましたわ」
岐阜城にて信親は如水、元親、秀政と軍議を行っていた。
主に調略や密約の取り決めであるため、宇喜多秀家や石田三成は呼ばずにかつて秀政の屋敷があった敷地に少人数で集まったのだ。
「長谷川秀成は当たり前だが我らに従うと申しておる。但し戦後には一揆をけしかけてきた上杉を処罰して欲しいとの事だ。俺からも頼む」
そもそも今回の戦いの発端は長谷川秀成にちょっかいをかけた直江兼続であり、息子を攻撃された堀秀政の上杉景勝に対する怒りは相当なものだった。
「となると上杉に関してとやかく言われぬためにこちらが主導権を握る必要があるな」
「ならさっさと清須を落とせば良い。向こうを野戦に引きずり出すぞ」
元親が言うと如水も頷く。
元々関わりの薄かった2人だが、どうも意気投合したようだ。
「福島や加藤を怒らせれば嫌でも出てきましょう。人質を斬りましょう」
「ははは、如水殿ともあろう御方がそこまで単純な方法とは……。もっと奴らの言う武士の誇りとやらを傷つける方法があるだろう」
秀政は笑いながら地図に置かれた駒を岐阜城から吉田城まで動かす。
「はぁ?何故吉田を攻める」
「甘いな土佐守。目の前に居る軍勢が自分達を無視して素通りすれば奴らは怒り狂うに決まっておろう。それから各地を放火していけば奴らは我らを追撃しなくてはならなくなる。そこを迎え撃つのだよ、桶狭間で」
「桶狭間……!」
3人が秀政の置いた駒の地名に目を向ける。
「桶狭間周辺は山地だ。まず鳴海付近で敵を迎え撃ち、ジリジリと後退しつつ山道周辺に配置した部隊と桶狭間東に配した軍勢を一気にぶつけて壊滅させる。その後は空っぽになった清須にて一旦補給して内府と浜松あたりで決戦だな」
「ならば餌を付ければよろしいかと。西国勢に加えて治部と小西も連れて行きましょう」
「気に入ったそれで行こう。早速備前殿の元へ行って参る」
間もなくこの策は承認され信親や秀政、九州勢と石田、小西の五万の軍勢が尾張へと侵入したのだった。




