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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
天下人の章
132/199

64話

1ヶ月後、事件が起きた。

家康が黒田長政、伊達政宗、蜂須賀家政と無断で婚姻関係を結ぼうとしている事が判明したのだ。

これに激怒した前田利家と奉行衆が家康を追求し諸大名が前田、徳川の屋敷に集まり軍事衝突直前にまでなった。


「ですから長宗我部様に両者の仲介をして頂きたいのです」


そう言って片桐且元が信親に頭を下げる。


「ふぅ……。どう考えても前田の爺さんに問題がある。国政を取り仕切る徳川様が誰の許可を得て婚姻関係を結ぶのだ?」


香川親和が前田利家の屋敷に行った一方で信親ら長宗我部本家は中立を決め込んでいた。

信親の考えとしては家康寄りであったがあくまで宿老の1人として合戦になる事は避けるべきという態度を取ったからだ。


「ですから、我らもそう申し上げておるのですが前田様が頑なにそれを……」


「面倒な爺さんだ。とにかく俺は知らん。もし戦になった時には軍勢を派遣して中納言様を四国に避難させられるようにはしておこう」


「それは……。ともかく何とかならないのでしょうか?」


「徳川様に折れて頂くしかない。適当な時期にになれば隠居する事か向こうが謝罪するか……。どちらにしろお互いに戦は避けたいはずじゃ」


「はっ、はぁ……。しかし戦になれば……」


「だから中納言様は長宗我部軍がお守りする。それに前田の爺さんや徳川様とて畿内に即時に軍勢は展開できまい。その前に阿讃の軍勢が大坂になだれ込み愚か者共を一掃してくれるわ」


かつての三好家同様に長宗我部家は宿老どころか各地の大名の中で最も迅速に一万を超える大軍を畿内に送り込むことが出来る。

その点で長宗我部家はどの大名よりも軍事的に優位に立つことが出来た。


両者の睨み合いは1週間ほど続いたが信親が長宗我部軍が四国沿岸部に展開しいつでも渡海出来る準備を整えていると噂を流したのでさすがにマズいと悟った前田利家の方が折れた。


その後まもなく利家は病に倒れ家康は見舞いのために利家の屋敷へと向かった。


「槍の又左と恐れられた前田殿も歳を取られましたな」


「東海道一の弓取と呼ばれた徳川殿も今ではすっかり老人じゃ。お互い様よ」


「それもそうですな。しかしこの間は長宗我部に助けられたのう」


「ふん、あの小僧のせいで天下を取る機会を失うたわ」


「ほほっ、やっと本音を申したか。残念じゃったな」


「無念じゃ。藤吉郎の跡を継ぐのはワシじゃと思うておったがな。ともかく今後の中納言様と前田家のこと、貴殿に託す。頼めるな?」


「うむ、任せておけ」


そう言って家康は利家の手を握りしめた。

この瞬間に前田利家は家康に負けたと言っても良いだろう。

その後まもなく、利家は死去し前田利長に家督は継承された。

しかしその直後、またも事件が起きるのだった。

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