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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
天下人の章
131/199

63話

5類記念に今日から毎日投稿にしようと思います。

いつまで続くか分かりませんが。

秀吉が死去すると天下の政を取り仕切ることになったのは徳川家康だった。

家康の方もそれを察知して奉行衆や挑戦で功績のあった西国大名の屋敷を訪れるようになった。

そして信親の元にも家康はやって来た。


「内府様がわざわざお越しとは驚きました。狭いところですがどうぞ」


「いやいや、近くに立ち寄ったので長宗我部殿にご挨拶をと思いましてな」


「本来ならこちらから出向くべきところをわざわざ……。そういえばご紹介するのは初めてでしたな。我が父の如三でございます」


家康を広間に案内しそこで呑気に酒を飲んでいた如三を紹介する。


「お初にお目にかかります。徳川内大臣家康にござる」


「おおっ、これは内府様!いやいや来られるとは思っておらず面目ない」


さすがの如三も天下を仕切る家康が来るとなると姿勢を正し頭を下げる。


「長宗我部を一国の大名にまでのしあげた貴殿とは1度腹を割って話してみとうござった。1杯頂けるかな?」


「お止めになられた方が。親父殿の酒はとんでもない辛口ですぞ」


どちらかというと優しめの洋酒を少し嗜む程度の信親に対して如三はゴリゴリの酒豪であり現代で言えばほぼほぼアルコール中毒である。


「いやいや、倅の言うことは気になさらず。どうぞどうぞ」


そう言って如三はどこから持ってきたのかも分からない器に酒を注ぎ家康に差し出す。


「では頂こう。ふむ、確かにかなり来ますなぁ」


「げぇ……」


一度信親も如三の酒を飲まされたことがあるがあまりに舌が痛いので吐き出してしまったことがある。

だが家康は普通に飲んでいる。


「流石は天下の内府様!見事な飲みっぷりじゃ!肴も持ってこさせましょう!」


それから暫く如三と家康は酒を飲み信親はただ呆然としているだけだった。

しかし如三の方が先に潰れて寝始めると家康の顔つきが変わった。


「長宗我部殿、この度わざわざ屋敷に訪れたのが酒を飲むためでは無いのは貴殿ならお分かりだろう」


「ええ、西国大名の事ですな?」


朝鮮へ渡海した西国の大名は疲弊したにも関わらず大した加増も無く政権への不満が募っていた。


「左様。ここは1つ、蔵入地から功績のあったものに加増すべきと思うておる」


「ならば島津殿が良いでしょう。九州の大物で功績も十分にござる」


「やはり貴殿もそう申されると思うておった。五万石ほどを与えようと考えておるが如何かな?」


「よろしいかと。島津殿もますます豊臣家への忠誠を誓いましょう。その他の九州諸将にも此度の戦で使用した兵糧や武具の補填を致すべきですな」


「ではその事、明後日の合議で提案致すのでご同意願えるかな?」


「ははっ。承りました」


信親が頭を下げると家康も満足したようだ。


「そろそろ夜も遅いのでこれにて。楽しいひと時でござった。父上にもよろしく」


そう言うと家康は屋敷を出ていった。


さて、自分の屋敷に戻った家康を出迎えたのは側近の本多佐渡守正信だ。


「如何でしたか長宗我部は」


「案外従順だな。もう少し面倒な男かと思っておったが親父の酒癖の方が面倒だったわ」


「確かに、かなり匂いますな。では長宗我部はこちらの味方で?」


「いや、それは分からぬ。一手打ってみるか」


こうして家康の企みは次の段階へと移り始めた。

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