61話
まだまだ先の話ですがこの章終わったら元親に転生させますかね
明、朝鮮との交渉はあっさりと決裂した。
秀吉は再度宇喜多秀家を総大将とする軍勢を派遣して長宗我部家からも親忠と親通率いる二万の軍勢が出陣した。
しかし信親はそれどころでは無かった。
土佐にスペイン船が漂着しその対応に追われていたのだ。
「イスパニアは本当に耶蘇教を広めて我が国を征服すると思うか?」
報告のために上洛した信親に秀吉が問う。
「確かにイスパニアならやりかねません。私も南蛮の教えを捨てる時が来たかもしれませぬ。元より南蛮人の伝えるキリスト教は金儲けの事しか考えておりませぬ」
「クソ坊主共と伴天連も同じじゃな。京にいる伴天連は捕えさせるか」
「まあそれでよろしいでしょう。近頃南蛮では新たなるキリスト教が広まっておるそうでプロテスタントと呼ばれておるそうです。今の伴天連共のあり方に抵抗する抵抗者という意味だそうで。まあ日ノ本にはまだ入ってきておらず私も子細は分かりませぬ。しかしこれが国内に流れてくればそちらに切り替えてイスパニアが推し進める今のキリスト教の考えは禁じて宜しいかと」
「ふむ、その時になればお主は簡単に教えを捨てられるか?」
「ええ、そりゃあもちろん」
別に信親はキリシタンだがカトリック教徒では無いしプロテスタント国家であるイギリスやオランダと組んだ方が良いと分かっていた。
あと3年もすればリーフデ号が漂着するはずなのでそれを待つのみである。
「よし、とりあえず京の伴天連は磔にしてやろう。イスパニアに我らを攻めようものならどうなるか教えてくれるわ」
こうして26人の宣教師が秀吉により殺害された。
信親の方も四国のキリシタンたちの動向を探りカトリックへの改宗を拒みそうなもののリストアップを始めた。
さて、慶長2年に朝鮮での防衛拠点の築城に成功した四国勢は全軍が帰国し長宗我部家には暫しの平穏が訪れていた。
「清華家か。遂に一条兼定に並んだな」
久々に信親は父の元親と共に酒を飲んでいた。
隠居生活を送る元親はすっかりと歳を取りもう60歳になる。
「このまま行くと一条兼定を超えますよ。徳川家康と前田利家が死ねばその後釜は間違いなく俺と宇喜多秀家です」
「ふう……その時まで生きておれるか」
「弱気な事を。島津義弘などは父上より3つも歳上ですが朝鮮で暴れ回っておりますぞ」
「確かにワシも少しはお主のために働いた方が良いかもしれんな」
「ほう。土佐の鬼若子殿が再び表の世界にお戻りになられるのですか」
「うむ、もしもの事があればワシも戦場に出てお主と共に戦おうぞ」
こうして長宗我部元親は出家して如三と名乗りながらも長宗我部家のブレーンとして現場復帰する事になったのだった。




