58話
お知らせ
昨日論文読んでいたところ、吉良親実は吉良宗家を継がずに蓮池親実と名乗っていたことがわかりました。
また次男の吉良親正が父と同じ播磨守、養子の本山内記が弥五良貞俵を名乗っていた事からこの2人が吉良氏の後継者候補と推測できます。
しかし本作では吉良親実が吉良家当主として南予の支配者となっています。
史実と違いますが今から訂正するとより混乱を招くためこの場にて謝罪させて頂きます。
申し訳ありません。
蒲生氏郷は最近体調が良くないので堀秀政は前田利家の屋敷へと向かった。
「なるほどなぁ。確かに古新(輝政)は辛いだろうな」
前田利家からしても輝政の父の池田恒興は幼馴染であり悪友であり兄貴分だった。
なので秀次への心象はやはり良くない。
「ええ。古新もそうですが関白殿は精神が不安定故に辻斬りなどもされている様子。これはそろそろ手を打つべきと思いませぬか?」
「だがどうしろと言うのだ。藤吉郎に秀次を斬れと進言するのか?」
「いや、もう少し回りくどく行きましょう。まずは関白殿がいずれ拾様の脅威となる事、殿下の側室を狙っている事、東国大名と組んで謀反を起こそうとしている事。理由なんて適当に吹き込めば良いのです。前田玄以辺りに手回しするとなお良いでしょう」
「お主も悪よのう。田中吉政、山内一豊、中村一氏、堀尾氏晴辺りはこちらに取り込んでおくか」
「ならばもっと大きくいきましょう。石田治部も一派に引き入れて秀次派をここらで一層しましょう。浅野長政、木村常陸介、前野長康……この辺りは殿下の譜代でそれなりに発言力も大きいですからな。伊達と最上は放っておいて良いでしょう」
「昔の藤吉郎と日向守を思い出すわ……。ともかく拾様が世継ぎになればワシとしてはやりやすい」
「何がやりやすいのです?あなた、さては天下を狙ってますね」
「戦国の世に生まれて天下を狙って何が悪い。お主とて先程から笑みが零れておるぞ」
「はっはっはっ。これはどちらが長生きできるか楽しみですな」
こうして陰謀が進む中、信親は呑気に立花宗茂と島津忠恒とカルタをしていた。
「それにしても数奇なものよのう。島津殿から見れば俺は叔父の仇、その島津殿は立花殿から見れば父の仇、んで立花殿から見れば俺は……。分からんな、はっはっはっ」
「いやいや、戦場で死ねれば叔父も本望だったでしょう。立花殿がどうお思いかは分かりませぬが……」
「父祖の遺恨を我らが継いでいては前には進めませぬ。今は泰平の世を荒らさぬためにもお互いに手を取り合う事こそ必要と心得ます」
「いやいや流石はご両人。世の中仇討ちじゃ先祖の禍根がどうたらと言って復讐しようとする奴がいるがそれでは何事も前には進めぬ。俺も仙石秀久を許すことにしておるぞ」
「流石は中納言様、器が広うございますな」
史実ではかなり個性的な忠恒だがこの世界では親和が日向に入っているため、伊集院忠棟の所領も少なくそれがストレスになっていないのか何段階か大人しい人物になっている。
しかし信親達、西国大名がつるめばつるむ程、秀次は不安で頭がおかしくなっていくのだった。




