50話
ここら辺から大名同士の会話が増えるので様呼び、殿呼びについて本作での基準を明確にしたいと思います(なろう小説見てると割と様と殿の使い分けがハチャメチャになってる作品が多い気がしたので)
まずランクを
内大臣、大納言、中納言、参議、中将、少将、侍従(四位)、侍従(五位)、諸大夫大名、諸大夫陪臣 に分けます。
ランクが2つ以上離れる場合には下位のものは上位のものに対して基本的に様呼び、上位のものから下位のものに対しては殿呼び。ランクの開きが1つの場合はお互い殿呼びとします。
上位から下位のものへの呼び方に関しては個々に関係がある以外は基本的に殿呼びとなります。
例えとして
細川忠興と福島正則が会話する場合、細川忠興は参議、福島正則は侍従となりランクが3つ離れるので基本的に正則は忠興を様呼びで会話します。
ただし忠興から正則は両者が七将のメンバーである事、年齢が近いことから忠興は呼び捨てで呼びます。
信親の場合、現在は参議なので立花宗茂や島津義弘からは様呼びです。しかし信親から宗茂や義弘は与力大名ではありますが年齢や経歴が違うことから殿呼びです。
基本的にはこの形で固定するのでよろしくお願いします。
黒田官兵衛らによって肥前に築かれた名護屋城は国内最大規模の軍事拠点であり各地に大名の屋敷が作られた。
出兵するのは西国大名だが東国大名も参陣しておりまさに日ノ本中の武将が集まっていた。
「この伊達越前守政宗、千五百の軍役を命じられましたが殿下にご奉公するために三千の兵を連れて参りました!」
「うむ、伊達軍の装備は豪華絢爛にてあっぱれなり!褒めて遣わすぞ!」
「ふん、田舎侍が……。60万石もあるなら三万は連れて参れ」
秀吉に着陣の挨拶をする伊達政宗に堀秀政が小声で嫌味を言う。
堀家も43万石の石高に対して一万七千とかなりの軍役を強いられておりなおかつ渡海も命じられている。
「大変だな。お前は何番隊だったか」
「五番隊だ。お主の兵は七番隊だろ」
渡海軍は十番隊まで分けられており、その主な武将は以下の通りである。
・一番隊
大将 小西行長
宗義智
松浦鎮信
有馬晴信
・二番隊
大将 加藤清正
鍋島直茂
・三番隊
大将 黒田長政
大友義統
・四番隊
大将 毛利勝信
島津義弘
香川親和
・五番隊
大将 堀秀政
福島正則
蜂須賀家政
生駒親正
戸田勝隆
・六番隊
大将 毛利輝元
小早川隆景
立花宗茂
・七番隊
大将 長宗我部信親(対馬統監)
津野親忠
河野親通
・八番隊
総大将 宇喜多秀家
黒田孝高
増田長盛
石田三成
・九番隊
大将 浅野幸長
宮部長熙
南条元清
・十番隊
大将 豊臣秀勝
長岡忠興
長谷川秀一
以上20万近い大軍でありそのメンバーは殆どが西国大名である。
「まあお前の五番隊は大抵知り合いだから良かったじゃないか。三番隊と四番隊の方が厄介だぞ」
「三番隊は黒田の若造が大友家の連中を纏められるかどうか……。四番隊は単純に毛利勝信が小物すぎるだろ。こいつ誰だっけ」
「五郎二郎が上手くまとめてくれたら良いんだがね」
毛利勝信はかの有名な毛利勝永の父親である。
秀吉の古くからの家臣で尾張出身だが曲者揃いの島津軍を纏めるにはやはり役不足感が否めない。
「全体的に殿下の譜代衆は人材不足だな。織田の軍勢ならいとも簡単に纏められたのにな」
「よく言うぜ。今となっては柴田、明智、丹羽は亡く蒲生くらいしかいないではないか」
「忠三郎め……。自分は九州でゆっくりしておれると喜んでおった」
蒲生氏郷を秀政はライバル視している節がある。
3つ歳下で自分よりも後輩なのに信長からも気に入られ92万石と自分より遥かに大身なので嫉妬するのも無理はないが。
「あーあ。上様が生きていたらなぁ」
そうぼやく秀政を見送りながら信親も在りし日の織田政権に思いを馳せるのだった。




