48話
年末、有力大名が大坂に集められた。
そのメンツは次期豊臣家後継者たる豊臣秀次、関東250万石を支配し東国の主たる徳川家康、奥州を監視し豊臣政権で3番目の大大名である蒲生氏郷、越後を中心に90万石の所領を持つ上杉景勝、秀吉の盟友で北陸を支配する前田利家・利長親子、中国地方の統監である堀秀政、秀吉の一門格である宇喜多秀家、日ノ本の玄関口である筑前を任された毛利輝元、そして南海の太守である信親である。
なぜ呼ばれたのか大方の大名はわかっておらず皆ソワソワしている。
そして間もなく秀吉が奉行衆を引き連れてやってきた。
「皆の者、ワシは決めた。朝鮮と明を攻める」
「ははっ。ご冗談を……」
突然の唐入り宣言に前田利家が困惑したように苦笑いする。
「いや本気じゃぞ。唐入りに備えワシは関白を退き秀次に跡を譲る。そして肥前に巨大な城を築きそこを拠点とする」
「なっ、なんのために唐入りを……」
徳川家康が汗を流しながら聞く。
関東に移封されて間もないのに外征となれば家康も内心穏やかでは無いのだろう。
「イスパニアが明を狙っておるそうじゃ。だがイスパニアの好きにはさせん。いずれは天竺も支配しワシがこの世の王であることを証明してやる」
あまりに飛躍しすぎた話に皆が黙り込んでしまう。
「流石は殿下。ただ、少し話が大きすぎませんかね?もう少し現実的な話を……」
「いや、久太郎。ワシは現実にこの世の王になることを目指しておる。本気じゃ」
「素晴らしきお考え!この秀家めに先鋒をお申し付けくだされ!!」
止めようとする堀秀政を他所に宇喜多秀家が名乗りをあげる。
「流石は八郎じゃ。他の者共はどう思う?」
「まあ、備前宰相殿が申されるなら……」
上杉景勝がそう言うと信親を初めとした諸将も頷く。
「よし、総大将は八郎として西国大名を中心にまずは朝鮮を平らげる。良いな!?」
「ははー!!」
こうして朝鮮征伐が始まるのだった。




