46話
今日から大学ですが登下校中に投稿するので頻度はむしろ上がると思います
海部を出立した長宗我部軍は水路で志摩沖にて九鬼嘉隆らと合流し後から来た立花宗茂、小早川秀包、香川親和を加えて東進を開始した。
豊臣水軍の目的は北条水軍の動きを封じること、小田原の海上封鎖であり既に徳川水軍と北条水軍が交戦している事から戦闘が目的という訳では無かった。
それゆえ長宗我部軍の空気は前回に比べれば軽かった。
早速、北条水軍の拠点である下田城を合計で四万にも登る大軍が包囲した。
下田城は3方向を海に囲まれており攻めるには難しく守るには適した城だ。
軍議の場で立花宗茂が真っ先に意見する。
「私と藤四郎(秀包)、五郎次郎が夜の内に西側へ移動し陸路から攻撃します。御大将と方々は明朝の我らの攻撃に合わせて援護射撃をして頂きたい」
「承った。各々もそれでよろしいな?」
宗茂の案に諸将も同意したのでその日の夜に宗茂以下三千の軍勢が動き始めた。
本来は3人で一万二千を連れてきているのだが多すぎると相手に動きが悟られる可能性があるので残る九千は信親に預けられた。
明朝、宗茂のいる方面から狼煙が上がる。
「攻撃の合図だ。砲撃開始!」
長宗我部水軍、九鬼水軍、淡路水軍の連合艦隊から一斉に大筒が放たれる。
下田城の櫓が吹き飛びまもなく中から叫び声が聞こえてくる。
立花勢が突撃したようだ。
「立花左近将監、下田城を攻め落としたぞ!!」
1時間もするとそんな声が響く。
残党を制圧すると信親たちも下田城へと入った。
「さすがは立花殿と小早川殿。五郎次郎は良い友を持ったな」
実質三千の兵で落としたのだから大したものである。
歳下で大名としての経験は浅いものの素晴らしい働きだと信親もほかの諸将も感心する。
下田城を落とした豊臣軍の次の目的地は小田原である。
信親は徳川水軍に下田城を任せて小田原へと向かった。
「近江中納言様は苦戦されてるようですぞ」
山中城を攻めた豊臣秀次の軍勢は北条軍の猛反撃を受けて家老の一柳直末が戦死したらしい。
「近江中納言様はお主とひとつしか変わらんだろう。長久手の戦といいあまり戦場に出ない方が良いのかもしれん」
秀次は親和よりひとつ歳下、しかし戦での目立った活躍は殆どない。
「とはいえ今回の戦で全て終わるのでしょう。戦のない世が来るとは思いませなんだ」
「否、奥州には伊達がおる。それにいつ国内の反乱分子が動くかも分からん。まだまだ先は長いぞ」
信親はそう言いながら来る朝鮮出兵をどう回避するかを真剣に考えるのだった。




