40話
遂に島津軍は府内城を包囲した。
流石に防備を固めていたこともあって突っ込んでは来なかったがお互いに最大限の緊張が走る。
そして天守より島津軍を睨みつける秀久と信親の元に加藤嘉明が飛び込んでくる。
「申し上げます!西側にて御味方が磔にされております!!」
「はァっ!?」
直ぐに信親と秀久がその方面に向かうと確かに人質が何人も磔にされていた。
大友の重臣だけではなく女子供、更にはそこら辺の農民もいる。
「おのれぇ、島津め外道なり!今すぐにあれの首をあげてくれるわッ!!」
「たわけ!突っ込めば敵の思う壷ぞ!」
救援に向かおうとする秀久を信親が必死に止める。
「もはや貴殿の指図は受けぬ!貴殿に逆らって殿下に斬られるよりも女子供を見捨てて恥を忍んで生きる事の方がワシはよっぽど恐ろしい!」
信親の静止を振り切って秀久は行ってしまった。
直ぐに諸将が本丸に集められる。
「おのれ、あの猪武者めっ!!まんまと島津の策に引っかかりおって!」
河野親通が床を叩き付ける。
通親も反対側に控える津野親忠も元親より大名として必要な非情さを学んでいたが仙石秀久にその教養はなかったらしい。
「私が救援に向かいましょう。権兵衛殿の失態は我ら豊臣家の人間にお任せ下さい」
「いや、加藤殿。貴殿まで戦死となれば殿下に合わせる顔がない。私が自ら全軍を率いて……」
そう言いつつも頭を抱える信親の前に香宗我部親泰が出る。
「ならば私にお任せあれ」
「は?叔父上っ!?」
こういう時、親泰なら見捨てろと言うと思っていたので信親も通親も驚く。
「もう私は長宗我部家にて役目は果たした。最後にそなたの役に立ちたい」
「いや、ダメにございます。まだまだ叔父上には……」
「我が子と一族の事、お頼み申し上げる。仙石殿をお救いして来まする」
「いや、叔父上ッ!!」
信親の引き止めを無視して親泰も行ってしまう。
「クソっ!!」
「兄上、叔父上を死なせる訳には!援軍を送りましょうっっ!」
「たわけっ!それでは仙石と同じじゃッ!!今は叔父上の無事を祈るしか……」
それ以上は親通も何も言わなかった。
間もなく香宗我部親泰率いる二千の軍勢が仙石秀久の三千を救援するために府内を出撃した。
何となく私の作品を読んでる人は分かってると思いますが私は別に長宗我部家滅亡の原因はゴンベエにあるとは思っていません。
どう考えても滅亡の原因は元親の急な中央集権化を目指すための家老の粛清と盛親への教育不足、盛親の指南役となる一門衆の不在です。
逆に山内一豊はマジで嫌いです。




