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シン 長宗我部転生記   作者: 三p
天下人の章
101/199

34話

知恵袋にも投げたんですが長宗我部盛親の息子の盛恒について実在が証明できる1次資料をご存知の方、教えてください。

普通に考えて元親が盛親に側室を作るのを認めるとは思えませんし。

天正11年の冬、南府城が遂に完成した。

城下には四国中の人々や信親と縁のある商人、公家、そして宣教師たちも集まりかつての中村御所を凌ぐ活気ぶりを見せていた。


「ふっはっはっはっ!長宗我部家こそが西国一の大名と畿内では言われておるそうじゃ。気分が良いわ!」


天守閣よりその城下を見下ろし信親は高らかに笑う。


「しかしお前様……これでよろしかったのですか?羽柴様は母上を……」


先日、長女を産んだばかりの初が不安そうに言う。


「これも世の流れよ。そなたの姉妹は保護されたようじゃし良いでは無いか。そう言えば羽柴様も新たに城を摂津に築かれたらしい。どのようになるか楽しみじゃの」


さて、この頃の畿内の大名の配置であるが清洲会議によって秀吉は丹波・山城・河内、織田信重は坂本、堀秀政は佐和山、池田恒興は大坂を手に入れていたのだが柴田勝家、神戸信孝が死亡したので池田恒興は大垣に入り丹羽長秀が越前へ、そして秀吉は摂津を手に入れそこに大坂城を築いていた。

(丹羽長秀は史実に比べて勢いがないよ)


翌年、秀吉は大坂城を完成させた。

その祝いの挨拶をするように織田信雄に要求したが信雄はこれに激怒。

両者の対立は頂点に達し信雄は徳川家康、佐々成政、雑賀衆らと連合して秀吉に宣戦布告した。

更に毛利家にも使者を送ったが吉川元春が山陰に兵を送ったのみに留まり本格的な毛利軍の侵攻は行われなかった。

しかし秀吉に精神的に不安を与えたのは間違いなかった。


そんな秀吉は池田恒興、堀秀政、森長可、細川忠興らを率いて出陣し長久手にて徳川軍と対峙、三河を強襲する事を決め甥の三好信吉を大将に池田恒興、森長可、堀秀政、長谷川秀一を送り込むも若干26歳の三好信吉が池田、森らを抑えられるはずもなく、全軍の足並みが乱れた所を徳川家康に奇襲され池田恒興、元助親子、森長可が討死する大損害を受けた。


しかし伊勢方面では羽柴秀長、蒲生氏郷らが活躍し織田信雄が秀吉と講和、大義名分を失った家康も涙を飲んで秀吉と停戦した。


この際、雑賀衆が大坂へと攻め込んだため、信親は大坂に居た香川親和と連携して三好親長、武田信定ら阿波勢が和泉へと上陸。

雑賀衆一万を包囲殲滅した。


そして勢いの無くなった雑賀衆に対して秀吉は尾張にいた軍勢をそのまま投入し天正12年にこれを滅ぼし、史実より早く紀州征伐が行われたのだった。


そして年明け、信親は宇喜多秀家と共に秀吉に呼び出された。


「織田信雄、徳川家康はもはや動けぬ。雑賀も消えた。次なる敵は誰か分かるか?」


「毛利にございますな!」


信親より7つ若い宇喜多秀家が食い気味に出る。

宇喜多家としては毛利家の直接の驚異を感じていたために、早く叩きたかったのだろう。


「うむ。人質を返してやった途端に吉川元春が暴れ始めおった。あれとワシに反抗的な足利義昭の首を条件に許してやると書状を送ったが輝元め。拒否しおった」


「叩きますか?毛利を……」


恐らく毛利が消えれば長宗我部は確実に五大老に入れるだろう。

しかし宇喜多秀家がどれくらい伸びるかが分からない以上、信親としては安易に毛利を潰したくなかった。


「うむ、吉川元春とその一族は断じて許せぬ。山陰より小一郎、山陽より八郎(秀家)を先鋒としてワシ自ら、南より土佐守が一気に毛利を攻め輝元に灸を吸えてやる」


「では輝元はお許しになるのですな?」


「土佐守はお見通しのようじゃな。防長2カ国で許してやるつもりでおる。輝元とてアホな叔父の為に死にたくは無いだろう」


「はははっ、武者震いがしますな!出陣はいつ頃?」


「焦るな八郎、夏頃を予定しておる。宇喜多は一万五千、長宗我部は二万五千は出してもらおうか」


「ははっ。お任せ下され」


信親と秀家が頭を下げる。

こうして史実に存在しない毛利征伐が着々と進みつつあった。

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