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16-5


1度踏み外した道を戻すことは困難であることは、ただの思い込みだと思う。それでも僕がもとの道に戻る選択肢を取らなかったのは、僕が愚かだったからだ。

それから2年後。カルバルとは定期的に連絡を取ってはいたが、直接会うことはない。実行する前に計画が露見することを恐れたためである。ニゲラが軍人の一次採用試験を突破したと報告を聞いて、計画の時が近づいていることを知った。ニゲラが王殺しを実行したと同時に僕は神を倒す。だが万が一、ニゲラが王殺しを実行せず、神だけを倒してしまったら?

もしくは王殺し後、神も倒してしまったら?

僕はただの裏切り者に成り果ててしまう。

本物の勇者の存在が僕を不安にさせる。

そんな時、城にハガネ様が訪ねてきた。過去の術者がとっていたこの世界の記録を確認しに来たらしい。この世界の記録は術者一代ごとに城に保管されるらしい。現術者の記録は、術者の手元にあり、術者が死ぬまで術者以外のものが見ることはない。

そのハガネ様と共に幼女、スイが一緒に来ていた。魔導師様の留守を狙ったのか、スイが魔導師様と対面することはなかったが、代わりに表向きには魔導師様の助手である僕と対面した。僕は一目でスイと分かったが、スイは僕のことを最初分からなかった。僕が共に召喚されたヤマトだと知ると、嬉しそうに僕にお礼を告げた。


「あの時、私を救おうと体を張ってくれてありがとう!あなたが生きててくれて本当に嬉しい。」


それだけのことなのに、僕は泣きそうなぐらい嬉しかった。

僕が行ったことは無意味ではなかった。それが余計に僕の裏切りを肯定してくれた。

スイはこの世界からの解放を望んでいた。成長も死ぬことも許さないこの体にうんざりしてるようだった。ハガネ様と記録を見に来たのは、ワタリドリの記述を探しにきたからだそうだ。どうやら現術者にスイがワタリドリであることを教えられたようらしい。過去にワタリドリはどうやってこの世界から立ち去ったのか、調べているようだ。


「過去のワタリドリといっても、それはスイ本人だろ?スイが記憶を思い出した方が確実ではないのかな?」


僕の意見にスイは首を横に振った。思い出すことは出来ないというよりも自身がワタリドリであることを心のどこかでは認めたくないといった様子だ。それから1年ほど2人はこの記録を見に城に通った。その間、1度も魔導師様と遭遇することが無かったことを考えると、やはり魔導師様がいない間を狙っていたのだろう。この1年の間に僕たちは仲良くなった。元々同じ世界から来た者通しだから、心を開きやすい相手ではある。ニゲラが入隊した日も2人は城に来ていた。

二ゲラが入隊したその日、僕は彼らに1つの提案をした。厳密にいうとハガネ様だけにだが。


「スイを縛る魔力その物を切ればスイは解放されるんじゃないですか?スイの力を採取し続けるシヴァ神は勇者である僕が倒します。」



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