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真っ向勝負のしかけかた!  作者: 美濃由乃
意気地なし
3/12

童貞ゆえに


 そこにいたのはクラスメイトの葉山はやま しおりさんだった。


 漆黒の黒髪を伸ばした細身の美少女。

 葉山さんはあまり他人とつるまない。あまり話しをしているところを見たことがなく、その容姿も相まってミステリアスな魅力があり、クラスでも高嶺の花のような扱いをされている。


「それで、どうして掃除当番が一人だけなの?」


 スッと目を細めて僕を見る葉山さん。

 それだけで僕は、まるで叱られている子供のようにビクッと身体が硬直した。

 どことなく鋭さを感じさせるその目つきも、葉山さんを孤高の存在にしている一因かもかもしれない。


「ぁ、えっと、みんな、今日は用事があるそうで仕方なく、はい、えへへ……」


「……」


 ぅぅ、無言の圧力が凄い。

 何故か怒られているような気がして、嘘は言っていないのに、すぐにでも謝りたい気分になってきた。

 僕が冷や汗をかいて震えていると、葉山さんは踵を返して僕に背を向けた。


 帰るのかとホッとしたのも束の間、葉山さんは掃除用具のロッカーから箒を引っ張り出してきて、僕には何も言わずに教室の掃き掃除を始めてしまった。


 え?え? 何?この状況?


 無言で掃除を始めた葉山さんは、今日の掃除当番には入っていない。流石に悪いと思い、止めようと思った僕は、意を決して話しかけてみることにした。


「ぁ、あの! 葉山さんは当番じゃないですよね? ど、どうして……」


 そこまで言ったところで、またあの鋭い目がこちらをとらえて、僕は何も言えなくなった。

 なんか、本当に怒られているような気になって言葉が詰まるのだ。

 僕が、よく分からないままハラハラしていると――



「一人じゃ大変だと思って、私も手伝うわ」







 ふぁ、ふぁあああああああ!!!!!


 ……好き。


 今までの人生で一番優しいセリフを言われ、僕は、恋という病に容易くかかってしまうことになった。

続けてもう一話投稿します!

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